近代乗馬の本場、英国が生んだ馬具用堅牢レザー近代乗馬の本場、英国が生んだ馬具用堅牢レザー

近代競馬は1539年に英国のチェスター競馬場で誕生。ポロ競技などのスポーツ馬術も同国が発祥地です。ブライドルレザーはそんな乗馬の本場にて、馬具用素材として開発されており、約1000年前には存在したとの説もあります。では、どんな馬具に使われるかというと、それは頭絡、手綱、鞭で、このうちの頭絡、手綱にハミを加えたものが馬勒=ブライドル(Bridle)なのです。

ことに手綱は馬に指示を伝える役とともに、騎手が身体のバランスを取るための役も担っていて、したがってこれがちぎれると落馬の危険があることから、他の革以上に堅牢なブライドルレザーが多用されてきました。そうした革が今では鞄や革小物、パンツベルトなどに採用され、多くの人々に好まれて愛されているのです。

トラッドファッション誕生の地としての大英帝国

2コンパートメントブリーフケース

トラッドファッション
誕生の地としての大英帝国
いち早く近代化を達成した英国は、現代に続く多くの“遺産”を生み出しました。スポーツなら馬術をはじめボート、ゴルフ、サッカー、卓球……。紳士ファッションもスーツ、ネクタイ、バルマカーンコート、トレンチコート、ピーコート、アランセーター、カーディガン、ストレートチップなどのビジネスシューズ、ブリーフケースなど。
カントリーライフからはワックスドジャケット、乗馬からキルティング……とキリがないほど。と聞けば、英国ファッションの偉大さが理解できるのです。

堅牢性の証明、革表面に白く浮き出たブルーム

堅牢性の証明、革表面に白く浮き出たブルーム堅牢性の証明、革表面に白く浮き出たブルーム

ブライドルレザーは植物のタンニン(渋)のなめし剤で鞣されて出来上がるタンニンレザーの一種。ただし鞣された後、手仕事によって牛脂や蜜蝋(ワックス)が擦り込まれているので、すこぶる堅牢で、耐傷性にも優れ、それでいて非常にしなやかなのです。

また、この革で作られた製品には、革の表面に白い粉が吹いたかに見えるものがあります。これはブルームと呼ばれるもので、その正体は、実は革に擦り込まれたワックスが浮き上がったものなのです(ただし個体差などにより、ブルームが浮き出ていない製品も存在します)。ちなみに、このブルーム。乾いた布で拭く、あるいはブラッシングで簡単に落とすことができるので、ご安心を。

ライトウェイトブリーフケース

ブルームが浮き出た様は、ブライドルレザーならではです。ライトウェイトブリーフケース

フルタンニン鞣しとは、どんな技術?
フルタンニンなめしとは、
どんな技術?
鞣しとは「皮」を「革」に変える加工のこと。金属溶剤が使われるクロム鞣しなどもありますが、フルタンニン鞣し(純植物鞣し)では堅牢で型崩れしにくく、吸湿性に富む革に仕上がります。グレンロイヤルのブライドルレザーはタンニンレザーの中でも、タンニン槽に皮を浸す「ピット鞣し」と呼ばれる古典的技術で深く鞣されている(写真左は、ピット槽)ので、革の芯まで引き締まっていて、大変丈夫です。しかも、鞣しに長期間を要するため、これを行うタンナーは稀なのです。

タフであるのはもちろん、実は傷や雨にも強い。 タフであるのはもちろん、実は傷や雨にも強い。

タフであるのはもちろん、実は傷や雨にも強い。タフであるのはもちろん、実は傷や雨にも強い。

牛脂や蜜蝋(ワックス)が表面のみならず、革の内部にもしっかり擦り込まれているブライドルレザーは、そのオイル&ワックスが繊維組織の強度を補完するため、引っ張り強度や耐摩耗性などに優れており、普通の引っ掻き傷なら指先で擦るだけで、そのほとんどを消すことができます。さらにこのオイル&ワックスは撥水効果ももたらしていて、ゆえにブライドルレザーは一般的な革に比べて雨にも強いのです。しかも、より水に強いという点ではフッ素樹脂加工レザーに軍配が上がるものの、革本来の風合いが犠牲になっているというデメリットがあるのに対し、ブライドルレザーは革らしい表情はそのままに、味わいある風合いで私たちを楽しませてくれます。

オイル加工は雨対策から生まれた!

クラッチバッグ

オイル加工は雨対策から生まれた!
霧雨が多い英国では、早くからフィールドで身体を直接濡らさないための工夫が発達しました。ゴム引きのクロスはその一例ですが、より伝統的なのは生地や革にオイルやワックスを塗布する技術。ワックスドコットンジャケットやオイル加工の革底靴などがありますが、実はブライドルレザーも撥水性が求められ誕生した素材であるともいわれています。ただし完全防水ではないので、濡れたまま放置すると水ジミが出ることも。濡れてしまったら、すみやかに乾いた布で水気を取りましょう。

5年後が楽しみに! 経年変化で色&艶深まる“育つ革”

5年後が楽しみに! 経年変化で色&艶深まる“育つ革”5年後が楽しみに! 経年変化で色&艶深まる“育つ革”

タフで、雨にも強いブライドルレザーにはもうひとつ、大きな魅力があります。それはエイジング素材だということ。使うほどにしなやかになり、色が深まり、美しい光沢が現われて、未使用時とはまるで異なる表情に変化します。実をいえば、このエイジング効果もタンニンなめしとオイル&ワックスのダブル効果によるもの。しかもグレンロイヤルのフル・ブライドルレザーは透明感ある染料で色づけされているので、堅牢性や撥水性、革本来の表情はそのままに、色&艶の変化が顕著に出ます。薄い色や明るい色だと、そのあまりの“大化けぶり”にビックリしてしまうほど。このエイジング効果に魅せられたブライドルレザー・ファンが少なくないのも納得です。

使う人ごとに違う表情に経年変化。アタリによる濃淡も味わい深い。

使う人ごとに違う表情に経年変化。アタリによる濃淡も味わい深い。

革の表情を活かす染料によるカラーリング
革の表情を活かす染料による
カラーリング
革の染色では水などに溶解させて使う染料か、不溶系有色物質主体の顔料が使われます。前者は透明度が高いものの、鮮やかな色にするのに手間を要し、後者は透明度は低く、しかし短時間で染色が可能。絵の具でいえば染料は水彩に、顔料は油彩に相当します。(写真左は、赤が油彩、青が水彩)そしてグレンロイヤルのフル・ブライドルレザーは純染料染め。染色により多くの手間と時間は要しても、透明性があるがゆえに革本来の表情が活かせる希少なエクスクルーシブ素材なのです。

キレイにエイジングさせるなら正しいケアを怠らず。 キレイにエイジングさせるなら正しいケアを怠らず。

キレイにエイジングさせるなら正しいケアを怠らず。キレイにエイジングさせるなら正しいケアを怠らず。

使ううちに自然とエイジングするブライドルレザーですが、より美しい表情に“育成”させるなら定期的なお手入れを! 目安は1ヵ月に1回程度。革の折り部分、負荷がかかりやすい部分、コーナーなどは特に念に入りに。これにより、色&艶が美しく深まるのみならず、しなやかになり、かつ耐久性が高まるのです。また「表面が少し乾いてきたかな?」と感じたとき、あるいは雨にさらされた後にも専用ワックスでオイル分を補いましょう。

お手入れ道具
まず、これらを用意してください
①タオル(水拭き用)
②グレンロイヤルのブライドルレザー専用ワックス「DUBBIN(ダビン)」
③グレンロイヤルの馬毛ブラシ
④クロス(乾拭き&仕上げ用)

エイジングケアの手順

Step1

Step1
タオル(①)を湯で湿らせ、固く絞った後、指にきつく巻き付けて汚れを拭き取ります。ただし、この際に洗浄液などは使用しないでください。

Step2

Step2
暖かい室内に置き、徐々に乾燥させていきます。ただし、日の当たる場所、玄関やロッカーの中など風通しの悪い場所、キッチン周りなど湿気の多い場所などは避けてください。

Step3

Step3
乾いたら「ダビン」(②)を少量取り、塗り広げます。指に直接付けて行うと、指先の体温で伸びが良くなるのでお薦めです。折り目やステッチ沿いなども入念に。

Step4

Step4
ブラシ(③)を使い、やや力を強めにブラッシング。こうして「ダビン」をより均等に広げていくうちに、革にオイル分が馴染んでいきます。

Step5

Step5
仕上げとして、指にきつく巻き付けた柔らかい布(④)で乾拭きを。とはいえ、無理に強く擦る必要はなく、表面に薄く油分の層を残すイメージで。

Step6

Step6
「ダビン」塗布の際にできたムラは消え去り、革の表面にワックスの被膜が形成されて艶が増し、よりしなやかに。と同時に、雨や汚れ、傷などに対する耐性もアップします。