No.007

多忙な生活を彩るひととき。
スタイリストの日課を支えるモノ。

「江東衣裳」代表/スタイリスト部坂 尚吾さん

勤勉さと謙虚さを象徴する、
グレンロイヤルのブックカバー。

雑誌や広告、映画など、多方面で活躍するスタイリストの部坂さん。意外にも前職はテレビ番組のADをされており、昔から移動が多かったのだとか。そんなライフスタイルだからこそ、欠かせないのが読書の時間。大切なひとときを支えてきたという、ブックカバーとの出会いをお聞きしました。

自身のルーツにある「映画」の存在。

━一口に“スタイリスト”と言っても、さまざまな種類の仕事があると思います。中でも、とくにやりがいを感じる仕事はありますか?

「映画」です。服だけが際立てばいいわけではなく、時には生活感やリアリティを出さなければいけません。だから、思っている以上に想像力を働かせる仕事なのかもしれません。たとえば、映画の批評に「衣装が良かった」というコメントがあった場合、キャラクターを生かすことや、魅力的に引き立てるということを優先的に考えているため、「服に目がいってしまったのか……」と考えさせられたりもしますね。


昔から映画が好きで、スタイリストになる前は映像の仕事をしていたんです。とくに、小津安二郎監督の作品が大好きなんですが、彼の作品ではモノの置き方一つでも緻密に計算されています。当然スーツや着物をはじめとした衣装の選択にもそれが及んでいるんだろうなと感じます。元々カメラマンをされていたこともあって、構図のつくり方が素晴らしい。映像としてはもちろん、一場面をスチールとして切り抜いても素敵なんです。


映画は撮影期間も長いので、1年に1本くらいのペースでたずさわっています。最近は、短い時間にすべてを落とし込まなければならないCMの仕事や、俳優のパーソナルなスタイリングを考えるという仕事にもやりがいを感じています。


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「言葉」は、大切な要素。

━スタイリングの幅を広げるために、日課にしていることはありますか?

僕は、スタイリングを考える際に「言葉」から入ることが多いんです。たとえば“かっこいい”というのはとても曖昧な言葉です。自分の中できちんとそのテーマを消化できていないとスタイリングに反映させることが難しいんです。そういう意味でも、映画や本から学ぶことが非常に多いです。映画は、1日に1本のペースで観ることを目標にしています。昨年は200本ほどしか観られませんでしたが……。最近では、仕事で文章を書かせていただく機会もありますし、移動時間が長かったりもするので、本を読む方が多いかもしれません。本で言えば、とくに出石尚三さんの作品を愛読しています。あとは、気になる方の作品やルーツとなっている作品を読んだり、数珠つなぎで本を探すことが多いですね。時には貴重な資料にもなる写真集も蒐集しています。知識を入れたいというのはもちろんですが、本を読んでいるとストレスなく時間が過ぎたり、リフレッシュできるというのもあります。


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勤勉さと謙虚な性格を投影する、ブックカバー。

━グレンロイヤルに出会ったきっかけを教えてください。

スタイリストになる前、テレビ番組のADとして働いていたんです。とにかく移動の多い仕事だったので、その時間を活用して本を読んでいました。その時に、まわりにどんな本を読んでいるのかというのを知られるのが恥ずかしくて、ブックカバーを探していたんです。「あいつ、勉強してる」という感じを出したくなくて(笑)。強く憧れていた人の影響もあってか、頑なに英国モノにこだわって探していました。そこで見つけたのが、このブックカバーです。当時は、シンプルで、英国製のブックカバーというのはあまりなかったですね。それから、9年ほど愛用しています。新書サイズも発売されていて、使う人のことをよく考えられているのを感じます。作り手が本を好きでなければ、なかなか新書サイズを作ろうとは思わないですよね。


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普遍的な魅力を持つモノが好き。

━ 普遍的な魅力を持つモノが好き。

10年先を見据えて、自分が使っているかどうか。近年は、衝動でモノを買うことが減りました。経験上、「これを着たらこうなるだろう」という想像力でカバーできそうなものには手を出さなくなりましたね。もちろん、人に着せるのが仕事なので、勉強のために買うことはありますが。本もそうですが、若い時は「人と違うモノ」を選びたいという気持ちが強くて、乱読していました。でも、年をとるにつれて、長年多くの方々に愛されている作品の魅力に、改めて気付かされることが多くなりました。映画も、以前観た作品を定期的に観なおしたり、本にも、好きな文章や記憶にとどめておきたい箇所に付箋を付けて何度も読み返すことが多いです。長い時間が経っても、自分にとって価値が変わらないモノというのは魅力的ですよね。それは、僕のイメージする、普遍的な英国のモノづくりと通ずる部分があるかもしれません。


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服装について考える機会を増やしたい。

━スタイリストの仕事を通じて、伝えたいことはありますか?

シチュエーションに対してどういう服装がふさわしいか考えることを大切にしています。それを時には足したり、引いたりすることで、スタイリングを構成しています。たずさわった方が胸を張って舞台に臨める力添えができていれば本当に誉れなことです。服は人が着用することで初めて個性となるのでないかと思っています。もちろん服単体で楽しむことも魅力的なことです。その両方のバランスを取るということが非常に大切なことではないかと思っています。


たとえば、僕はベルトが好きではないので、自身の服装に関しては、サスペンダーを使っています。それは、ウエストがずれ落ちることを防ぐためにベルトで絞りあげてしまうと、不自然なシワが生じてしまうからです。同じように、ネクタイもいわゆるフォア・イン・ハンドは好きではないので、スカーフ、アスコットタイ、ボウタイがほとんどですね。保守的と言われるかもしれませんが、考え方の一つとしてあっていいと思うんです。服装ですべてを伝えるというのは難しいことです。しかし、手足のように自在に服装を操ることができれば、それは大きな手立てとなるのではないかと思っています。


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「江東衣裳」代表/スタイリスト 部坂 尚吾さん

photoTRYOUT textK-suke Matsuda

「江東衣裳」代表/スタイリスト
部坂 尚吾さん

「江東衣裳」代表/スタイリスト 部坂 尚吾さん

1985年生まれ。松竹京都撮影所、テレビ朝日での番組制作を経て、2011年よりスタイリストとして活動をスタート。2015年に、自身の会社「江東衣裳」(http://www.koto-clothing.com)を設立する。映画、CM、雑誌、タレントなどのスタイリングから、各種媒体の企画、製作のディレクション、執筆など、マルチに活躍。BRITISH MADEのWEB内「STORIES」にて連載中。現在、スタイリストアシスタントを募集中。

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