No.015

グレンロイヤルに魅せられた
古本屋店主のコレクション。

「Tweed Books」店主細川 克己さん

「これは良いモノを買った!」と、
使うたびに感じさせてくれます。

白楽駅の穏やかな商店街に書店があります。一見はただの古本屋。しかし、中を覗けば、丁寧にジャケットを着せられたトルソーが鎮座しており、あるコーナーには服飾にまつわる貴重な書籍や雑誌が厚く取り揃えられています。そんな個性的な書店を手がけるのは、店主の細川氏。
自ら英国スタイルに身を包み、本を売るだけではなくカルチャーを伝道し続けています。今回、グレンロイヤルの製品を10年以上愛用しているという氏に、その魅力を語っていただきました。

スタイルを築き上げたい人のための書店。

━「Tweed Books」を設立された経緯を教えてください。

通っていた大学が神田に近かったこともあり、よく古本を掘りに神保町の古本屋へ行っていました。卒業してからは、新刊を扱う書店で働き、その後出版社で営業事務の仕事に従事しました。当時は仕事をしながら音楽家を目指していたので、毎日5時に帰れる仕事が良かったんです(笑)。出版社に転職したのを機にスーツを着なければいけなくなり、元々洋服に興味があったことも合間ってさまざまな書籍や雑誌を読んで勉強するようになりました。その好きが高じて、「Tweed Books」を作りました。


初めは服飾の本だけを揃えようかと悩みましたが、スタイルを築き上げるためには、服飾の本だけを読んでいてもダメだと思うようになりました。文学や哲学など、さまざまな要素が必要なのではないかと。そういうこともあって、現在のように服飾以外の本も総合的に取り扱う業態になりました。僕と同じように、自分自身のスタイルを作りたいと思っている方は、何かを求めていると思うんです。その何かを提案できるような書店を目指しています。


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好きを突き詰めた先に、英国カルチャーがあった。

━英国のカルチャーに興味を持ったのはいつですか?

出版社に入社してスーツ勤務になった時に、どんなモノを買ったら良いのか分からなかったんです。当時は、クラシコイタリアブームが終わりかけていたのですが、イタリアモノはどうもピンときませんでした。自分が何を好きなのか考えてみたら、「ラルフローレン」や「ブルックス ブラザーズ」のようなトラディショナルなブランドが好きなことに気がつきました。さらに突き詰めたら、アメリカのフィルターを通したブリティッシュに惹かれていたんです。それなら本物のブリティッシュはどうなんだろうと思い、関心を寄せるようになりました。それからは、本で英国のカルチャーを勉強したり、英国のプロダクトを購入するようになりました。とりわけ、ツイードジャケットにハマってしまって、今では30着以上持っています。「英国では、ジャンパーのような感覚でコンビニに行く時にも着る」と横浜のライジングサンという古着屋で教えて頂いた時は目からウロコでしたね。革製品にしてもウール製品にしても、英国のプロダクトは頑丈で型崩れしにくいという印象が強いです。

だからこそ、長く愛用したくなってしまうんですよね。


スタイル、作法、モノを書籍から学ぶ。

━ファッションを学ぶ上で、バイブルとなった本はありますか?

まずは、穂積和夫さんの『絵本アイビーボーイ図鑑』。アイビーのあらゆるスタイリングが描かれていて参考になりました。大学生の時に出会ったのですが、本格的に読み込む用になったのは、スーツを着る仕事に就いてからですね。前の店舗の時に偶然穂積さんが来てくださり、感激しました。それ以来、お会いする度に仲良く話をさせていただいています。ベストを着たらベルトは見えないようにするとか、シャツはジャケットの袖から何センチ出すとか、細かな作法に関しては落合正勝さんの著書から学びました。英国の文化に関しては、林勝太郎さんの著書がバイブルです。トレンチコートのように、英国で生まれて現代でも愛されているモノの良さを知ることができました。


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高級感とクオリティを兼ね備えたブランド。

━グレンロイヤルとの出会いを教えてください。

10年以上前に、丸の内にあったディセンタージュ(現ブリティッシュメイド)というお店に「チャーチ」を見に行ったんです。その時に初めて「グレンロイヤル」のことを知り、一目惚れしたアップルグリーンのブックカバーを購入しました。それ以来ずっと愛用しています。その年の年末にまたお店を訪れたところ、このブリーフケースが鎮座していたんです。当時店頭に飾ってあったのは一点物のサンプルだったのですが、ちょうどボーナスをもらったばかりだったので思い切って購入しました。頑丈なブライドルレザーを使っているので型崩れもしないですし、ステッチも全然ほつれないです。サラリーマン時代には、雨の日も雪の日も大活躍していましたね。


小物入れと財布、キーホルダーは7~8年前に購入しました。普段はトラッド好きを公言している割に、意外とモードも好きなんです。なので、派手な小物入れを選んで、洋服屋のポイントカードをすべて入れていました。財布は、土日に遊びにいく時に手ぶらでいくために購入しました。ジャケットの内ポケットに入るサイズなので重宝しています。キーホルダーはとくに使い道は考えていなかったのですが、今は「ロイドフットウェア」のシューホーンを付けてお店に常備しています。


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「楽しい」と「落ち着く」のどちらか。

━モノを購入する時にどんな基準を大切にされますか?

一番大切なのは、楽しいか落ち着くかということ。楽しいモノというのは、数年前に購入した「トリッカーズ」のルームシューズのように自分にとって新しいモノや、モードな服のように純粋に楽しさを求められるモノ。落ち着くモノというのは、ブリティッシュのスーツやツイードのジャケット、10年愛用している「セイコー」のロードマーベルや「グレンロイヤル」のように、歴史があり長く愛用できるモノというのは使っていてとても落ち着くんですよね。


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古本と革製品は似ている。

━お手入れのこだわりはありますか?

革製品に関しては、1年に1回クリームを付けて磨く程度です。じつはあまり手入れの必要性を感じていなくて、乾拭きでも十分かなと思っています。たとえば、古本でも以前の持ち主の落書きがあったり、シミや汚れがあるのも味だと思って気にならないんです。お客様の中には、状態の綺麗なモノの方が良いという方もいますけどね。じつは、アップルグリーンのブックカバーを購入して間もない頃に事件が起きたんです。

立ち食い蕎麦屋さんに入って、テーブルの下の棚に置いたのですが、そこに洗剤が溢れていて……。拭き取ったらシミになっていて愕然としました。結局、愛着の方が強かったので、汚れてしまっても使わない日はないほど愛用しているんですけどね(笑)。


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「Tweed Books」店主 細川 克己さん

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「Tweed Books」店主
細川 克己さん

「Tweed Books」店主 細川 克己さん

1975年 横浜生まれ。上智大学大学院修士課程修了。
新刊書店、出版社を経て2014年に古本屋 「Tweed Books」を開店。自らのスタイルを築き上げることを目指し、書店業を通じカルチャーを発信。お店では、珍しい服飾関連書を中心に、音楽、文学、哲学、歴史、デザイン、美術、映画などさまざまなジャンルの書籍が並ぶ。好きな作家は、筒井康隆、町田康など。

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