GLENROYAL of Scotland

       

No.25

半世紀の歴史を持つカーペット会社の代表が
英国モノづくりの真髄を感じたトートバッグ。

「堀田カーペット」代表堀田 将矢さん

長い歴史と技術の高さが、本質的な心地よさの所以。
このバッグは、“モノの力強さ”を感じさせてくれます。

「堀田カーペット」は1962年に創業した老舗メーカーでありながら、既存のOEM事業に捉われることなく、さまざまな方法でカーペットのある暮らしの魅力を伝え続けています。そんな「堀田カーペット」ブランドとしてのあり方を大きく変えたのは、三代目代表取締役に就任した堀田将矢さん。同社では「英国羊毛」を使用した製品を多く手がけていることもあり、イングランドやスコットランドへ行く機会が多く、そこでの経験が自身のモノづくりの考え方やブランドとしてのあり方に大きく影響を与えたのだと言います。グレンロイヤルを始めとする英国製品について、堀田さんは何を感じ何を思うのか。自身のお仕事の話と共に語っていただきました。

BtoCコミュニケーションと自社ブランディングに、未来への活路を見出す。

━「堀田カーペット」の代表として、どんな活動をされていますか?

弊社では、ホテルなどの特注カーペットを製造するOEM事業の他に、敷き込み用ウールカーペットブランド「woolflooring®︎」と、ウールラグブランド「COURT(コート)」を運営しています。私は、2008年に入社したのですが、その時からブランディングの必要性を感じていました。当時はBtoB事業がメインでしたが、お客様とダイレクトにコミュニケーションを取る手段の一つとしてBtoCコミュニケーションも有効だと考えたんです。そして試行錯誤を繰り返した末、2016年に立ち上げたのが「COURT」です。年に一度は、イングランドやスコットランドへ出張することがあるのですが、「COURT」の目指すべき方向性に苦悩していた頃、知人にイギリスで支持されているショップを紹介してもらい、2~3日かけて50店舗ほどリサーチで回ったんですよ。そこで「S.E.H.Kelly」というブランドと出会い、目指すべき方向性に気づかされました。彼らは、単に高い洋服を作りたいわけではなくて、本当に良い服を作りたいと思って、素材や縫製にとことんこだわっています。製造背景をWEBで公開してモノづくりの本質をしっかり伝えているところにも、メーカーとして非常に共感しましたね。


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純粋に“良いモノ”を追求し続ける企業を目指したい。

━会社として目指しているブランドはありますか?

「COURT」ブランドは「S.E.H.Kelly」を目指していますが、「堀田カーペット」本体としては、スコットランドのアイラ島を代表するウイスキーメーカー「BOWMORE(ボウモア)」を目標にしています。昨年、ブランドのビジュアル撮影も兼ねてアイラ島を二泊三日で回ったのですが、その時に「BOWMORE」のファクトリーを訪ねました。実際に行ってみて感じたのは、今は世の中にたくさんのモノが溢れかえっているので、モノを作る時に「これなら売れるんじゃないか」という考えが先行しがちです。ところが、「BOWMORE」はそうではないと感じました。彼らはあの場所で自分たちが本当にウマいと思う酒を作ることに全身全霊を注いでいます。だからこそ、彼らが作り出す味にはアンチもいれば熱狂的なファンもいる。そして、地場産業として根付き、アイラ島自体にとってなくてはならない存在になっています。弊社も日本で80%のカーペット製造シェアを占める南大阪の泉州地域で創業しているということもあり、地域の代表として地場産業を伝える役割を担いたいという想いもあります。それに、「BOWMORE」のように、本当に自分たちの良いものを作り続ける企業を目指していきたいと思っています。


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圧倒的な歴史が、本質的な心地よさを生み出す。

━モノを選ぶ時に大切にしている基準はありますか?

時にはパッと見で欲しいなと思うモノもありますが、基本的にはブランドや製品の背景をちゃんと勉強してから購入するように意識しています。そういう意味では、やはり英国製品に好きなモノが多いですね。普段から愛用しているのも、「チャーチ」の革靴や、「グレンロイヤル」のトラベルウォレット、「エッティンガー」のレザーペンケース、「パーカー」のペンなど、本当に英国製品ばかりです(笑)。たしかに、使い勝手や機能という面では英国以外の製品でも良いモノはたくさんあります。ですが、私が英国製品に惹かれるのは、本質的な心地よさを感じられるモノが多いからだと思います。


たとえば、ホテルを例にあげてみても、昨今ではモダンでカッコいいホテルはいっぱいありますよね。でも、サービスの質が高く、本当に心地よいと思えるのはやはり「帝国ホテル」など、圧倒的に歴史があり、働き手とお客様の双方が「帝国ホテルらしさ」を感じることができるホテルだと思います。英国製品から感じるのは、そういうことなんです。「パーカー」のペンにしても、研究と努力を重ねて描きやすさや液だれしないインクを開発したわけですが、今となっては各社当たり前の技術になっていますよね。それでも、ブランドとして凛と存在し続けていることに価値を感じるんです。機能だけ優れた製品と比べて、持ち歩く時や使う時の心地よさもひとしおです。


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プロダクトから、モノづくりの信念と力強さを感じる。

━グレンロイヤルというブランドの印象を教えてください。

自分自身がモノづくりに携わっていることもあり、力強さがビシビシと伝わってくるようなプロダクトと出会うと嬉しくなりますし、せっかく作るのであればそういうモノを作りたいと思っています。グレンロイヤルもまさにそんな製品を作り続けているブランドの一つで、製品から職人さんの技術と歴史の凄みが伝わってきます。はじめて渡辺産業さんの方から教えて頂いた時にブランドの歴史と背景を知り、「BOWMORE」や弊社ともモノづくりの信念が近いと感じました。個人的には、イングランドよりもスコットランドの方が歴史の深みを感じさせてくれるので好きなのですが、グレンロイヤルにはスコットランドらしさを強く感じます。街並みと同様に歴史のあるモノを長く大切にしながら、新しい感覚を取り入れてうまく融合している。そんな印象のブランドだと思います。


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唯一無二のサイズ感とレザーのタフな質感が良い。

━トートバッグの魅力について教えてください。

普段からカタログやサンプルなどを持ち歩くことも多いので、カバンは大きいに越したことはありません。そういうわけで、見せていただいた時にあった中で一番大きなトートバッグを選びました(笑)。レザーのバッグ自体は好きでいくつも使っていたのですが、生活をする上でいちいち気を使わなければいけないのが嫌だったんです。ところが、このトートバッグは革質に優れた肉厚のブライドルレザーが使われていて、かなりしっかりしているので良い意味で雑に扱っていてもまったくくたびれません。メンテナンスはほとんどしていませんが、1年半ほど使い込んでハンドル部分が柔らかくなってきたので、ボディも柔らかくなるのが楽しみです。


あとは、このサイズなのに肩掛けと手持ちの2WAYで使えるところがすごいですよね。荷物が多い方なので肩掛けできないと移動の時に大変ですし、これだけ大きなサイズのバッグだと手持ちの時に底部が地面に擦れてしまうことがあるのですが、このバッグはその辺も巧みに計算されていますよね。モバイルWifiや小物類など取り出す頻度の高い細かなモノを入れられる内ポケットがあったり、縫製も綺麗でディテールにも抜け目がありません。見た目にも使っていても、職人のモノづくりを感じることができるお気に入りのトートバッグです。


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カーペットを身近に感じてもらえるように、新ブランドを立ち上げ。

━今後の展望を教えてください

じつは、今年の9月に新しいブランドを立ち上げようと動いています。カーペットには空間全体に敷き込むものもあれば、ラグのように机の下などの狭い空間に敷くものもありますが、ちょうどその中間のDIYカーペットブランドを作ろうと考えています。50cm角のタイルカーペットで、柄や色にバリエーションがあり、自分の好きな組み合わせで貼っていける。たとえば、お子さんが家で遊ぶ時に、パズルみたいに組み立てて自分で遊ぶ空間を組み上げることができたら素敵じゃないですか。カーペットはパイル織りなのでテクスチャー感を表現することができますし、常に肌に触れているモノだからこそ2.5次元的な感覚で捉え、質感にこだわる必要があります。それに床材は空間に与えるインパクトが大きいので、そこに貢献できるというのはとてもやり甲斐のあることだと思っています。一般的なカーペットは気軽に買えるほど身近な商材ではないのですが、この新ブランドの製品を通じてもっと多くの方に気軽に楽しんでいただけたら嬉しいです。


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「堀田カーペット」代表 堀田 将矢さん

photoKenichiro Higa textK-suke Matsuda

「堀田カーペット」代表
堀田 将矢さん

「堀田カーペット」代表 堀田 将矢さん

1978年大阪府生まれ。北海道大学を卒業後「トヨタ自動車」に入社。
2008年に同社を退社し「堀田カーペット」へ入社。2015年に「カーペットの家」を竣工し、自宅兼ショールームとしてカーペットのある暮らしの魅力を発信。2016年には、ウールラグブランド「COURT(コート)」を立ち上げ、全国の家具屋や雑貨屋に取り扱いを広げる。2017年2月に、三代目代表取締役社長に就任。2019年9月にDIYカーペットブランド「WOOLTILE」を始動予定。

photoKenichiro Higa textK-suke Matsuda