No.004

目利き雑貨バイヤーが語る
“自分のカタチ”に育てる楽しさ
英国スタイル

DELFONICS リテール 商品開発マネージャー/バイヤー
長谷川 麻紀 さん

愛用している3つのグレンロイヤル。
それぞれがリンクする、自身のストーリー。

幾千もの雑貨と触れ合い、バイイングを手がけてきた長谷川さん。
文具や雑貨のバイヤーとして15年におよぶ歴史の節目には、グレンロイヤルの存在があったのだとか。思い出とともに語っていただきました。

“新鮮なモノ”を求め試行錯誤をくり返す日々

━バイヤーとして活躍することになった経緯は?

私は千葉出身なんですが、若いころ京都で暮らしてみたいと思い立ち、勢いで引っ越ししたんです。知り合いもいないし、どうせなら好きなモノの近くにいたいと考えていたので、スミス京都店の門を叩きました。当時は、弊社の直営店はまだ2〜3店舗しかなかったんです。アルバイトスタッフとして入社し、正社員となり、店長を任されてからはバイイングも兼ねるようになりました。トップバイヤーの指示で商品を入れるというやり方ではなくて、お客さんの声を聞いて仕入れたり、自分たちが気に入ったモノを入れたりしていました。お客さんと触れ合うことで、「こういうことも知らなければいけないのか!」という気づきもあり、勉強して商品知識をつけていきましたね。京都のお店には3年半くらい在籍して、その後東京へ呼んでもらいました。

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バイヤー歴は15年くらいになります。今は経験や商品知識も積み重なり、店舗でバイイングしていた時に比べて、さらに広い視野で商品を見ることができるようになりました。実際、お店自体がいろいろな商品を取り扱ってきているので、お客様も私たちも常に“新鮮なモノ”を求めています。まったく新しい商品というのは、そうそうないのですが、自分が面白いと思うモノ、時代に合っている旬なモノや、こういう打ち出しなら面白いと想像できるようなモノはあります。昔は、私たちと同じようなタイプのお店は少なかったんですが、最近では似たような業態も増え、同じ商品をどこでも扱っている状態。だからこそ、お店の中でどう見せるかということを大切にしています。編集次第では、商品を新しく見せることもできますので。

お客様との接点や趣味の時間が感覚を研ぎ澄ませる。

━バイイングの感性を磨くために心がけていることは?

今でもよくお店に立っているんですよ。会社でPCと見つめ合っているだけではなく、お客様に接客をしたり、商品動向を現場でチェックすることを大事にしています。本当は週に1度は行きたいところですが、1ヶ月に2~3回はお店へ行きます。

あと、最近はお花からもインスピレーションをもらっています。鑑賞するのも好きですが、ブーケを作る教室に参加するのが面白くて。植物はまったく同じものがないので、季節によって花材が違ったり、同じ花材でも大きさや曲がり方が違うので、同じようにやっても出来上がりがぜんぜん違うんですよね。ふだん仕事でお店のディスプレイを手がけているんですが、お花に関してはうまくいかないんです。形や色の組み合わせなど、扱っている商品だと慣れているんですが、また別のモノでやるとなかなか難しくて楽しい。こういうところに気をつけなければいけないと、立ち返って考える良いきっかけになりますね。

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思い入れのこもった長谷川さん的“傑作選”

━グレンロイヤルとの想い出は?

最初に購入したのは、こちらの名刺入れでした。初めてお店に入荷してきたときに、なんてかっこいいデザインなんだと、感動しました。当時、スタッフの間でも話題になったんです。名刺入れは一体化した蓋を開けるタイプが多いんですが、本体と蓋が二つに別れているという形状に一目惚れ。ステッチと革の色合わせも日本のメーカーにはない組み合わせだと思いました。その当時は、店長しか名刺を持つことができなかったので、店長になった記念に奮発して購入しました。使い勝手の良し悪しというよりも、ここから名刺を出すスタイルに憧れました。どういう風に出そうかなと、使いながら考えるのも楽しかったです。かれこれ15年は愛用していますね。

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その後に購入したのが、中が蛇腹になっているこちらの財布です。以前は二つ折りの財布を使っていたんですが、中身がいっぱいになってきたので、収納力のあるこちらを選びました。最初は、ファスナーが三方にまたがるので開け閉めが面倒かなと思ったんですが、すべりもよくポケットが蛇腹式でよく開きます。コイン、お札、レシート、クレジットカード、ポイントカードと何から何まで分けて入れられるのが便利で気に入っています。

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次に気に入ったのが、こちらのグリーンの財布です。デルフォニックスのために特別に作ってもらった別注アイテムなんです。シリーズに元々あるキーケースの形状が可愛くて、そのデザインをベースに、財布に落とし込んでもらった渾身の一品。コンパクトなコインケースが使いたい気分の時に重宝します。パキッとした鮮やかなグリーンも好みです。

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“自分のカタチ”に育てるという感覚

━手入れのこだわりはありますか?

じつは、何にもしていないんです(笑)。元々の革は、表面にブルームという白い粉が付いていますが、使っていくうちツヤが出てやわらかくなります。最初は堅いので、あんまり中身が入らないんですよ。でも、小銭やカードを入れて使うと、次第に中に入れているモノのアタリが出てきて、その人のカタチに育っていきます。もちろん手入れをした方が綺麗には使えると思うんですが、傷も馴染めば味になるので、それもいいなと思っています。そういうハードな使い方に耐えてくれるのも魅力ですよね。個人的に、革小物は明るい色目の方が変化を楽しめる気がしています。黒は汚れが目立ちにくいんですが、ツヤは出ても色の変化はわかりづらい。茶色や明るい色のモノの方が、変化が見てとれ、育て甲斐があるのでオススメです。

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使うことで発見するアイテムの魅力

━1番好きな雑貨は何ですか?

万年筆が好きです。ペン先が紙と接することで摩耗し、持ち主の書き癖のカタチに育つんです。一番のお気に入りは、スイスのカランダッシュというメーカーのモノ。ここの営業の方にボールペンの話を聞いたのが出会いできっかけで、話が万年筆におよび、購入に至りました。すでに5年以上愛用しています。スイスの文房具って珍しいんですよね。このブランドは、色鉛筆作りからはじまっているので、六角形の形状を軸本体に落とし込んでいたり、ボールペンはノック音がしないというのも面白いんです。私はすごく筆圧が強いのでいろいろな万年筆を試したんですが、ペン先の素材が金だと柔らかすぎて書けませんでした。この万年筆はステンレスの硬さがちょうどよく、書き味も気持ちが良い。胴軸が普通の万年筆より短いのですが、使う時は必要最低限の長さになるので、収納力と使い勝手のバランスもちょうどいいです。側面の柄が、見る角度によって表情が変わるのも面白いし、蓋を閉めた時のカチッという音も好きです。グレンロイヤルと同じく、実際に触って使うことで、新たな魅力を発見できるところに惹かれますね。

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気の利いたデザイン性と無骨さを兼ね備えるブランド

━女性の視点でみたグレンロイヤルとは?

無骨さもありながら、端の処理がきれいだったり、ファスナーの目が細かったり、品の良さを感じるブランドです。見た目が男性的過ぎないので、男性モノが好きな女性にも愛されていると思います。日本の革小物も気が利いているのですが、スコットランドで生まれたグレンロイヤルは無骨さだけでなく、デザインも気が利いている。職人が独りよがりで作っているのではなく、使い手のことを考えて作られている気がします。財布は毎日持ち歩くものなので、気分転換も兼ねて買い換えると処分してしまうことも多いのですが、グレンロイヤルのモノは捨てられなくてずっと取っておいています。また何かのタイミングで使いたいと思わせてくれる魅力があるんです。

長谷川 麻紀さん

DELFONICS リテール 商品開発マネージャー/バイヤー
長谷川 麻紀 さん

長谷川 麻紀さん

「DELFONICS」店舗のアルバイトスタッフとして入社。ショップマネージャーを経て、バイヤーに就任。現在は、リテール・商品開発のマネージャーも兼任し、広義のお店づくりを手がける。自ら担当店舗に立ち、お客様視点を忘れないバイイングに定評がある。社歴は20年以上。

photo TRYOUT text K-suke Matsuda