GLENROYAL of Scotland

ITEM 001

Dulles Bag

ダレスバッグ

側面が三角形のフォルム、180度開く開口部、そして正面の金具が特徴のブリーフケース。「ダレスバッグ」というのは和製英語で、出自は1951年に来日したアメリカ国務長官、ジョン・フォスター・ダレス氏が持っていたバッグだと言われています。イギリスでは「トップフレームブリーフケース」と呼ばれています。

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ダレスバッグを持つと
説得力が増す。
もっと日本で普及しても
良いと思います。

1994年に、日本における
“ビスポークテーラーの先駆け”として
創業した「バタク」。
代表の中寺さんは、トラディショナルを
こよなく愛する日本有数の“モデリスト”です。
今回は、氏が仕事のスタイルに合わせて
長年愛用してきたというダレスバッグについて
お話を伺いました。

「batak」代表取締役
中寺 広吉さん

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自分の仕事のスタイルに合うかどうか。

━ダレスバッグに惹かれた理由を教えてください。

10年以上愛用していたのですが、初めて買った時の理由は「荷物がたくさん入るから」というシンプルな理由でした(笑)。
ファッションとして見たことはあまりなくて、機能的に仕事のスタイルに合うかどうかということが大切だと思います。大容量ですし型崩れもしにくいので、仕事柄荷物が多い方にとっては非常に適したバッグですよね。持った時の格好やスタイルというのも、当然意識はしますけど、そもそも自分の生活とのマッチングが悪いとどうしても使わなくなってしまいます。そこを基本に考えるのは、とても大事なことだと思います。

日本でもっと浸透してもいい。

━日本におけるダレスバッグの立ち位置はどう思いますか?

もっと多くのビジネスマンが持っても良いと思いますよ。電車に乗っていても、大抵の方が持っているのは、どちらかといえばナイロンのブリーフケースが多い。スーツと同じだと思うのですが、やはり“ちゃんとしたモノ”を着ないと、しっかりして見えないですよね。そういった意味では、ダレスバッグを持つだけで印象がガラリと変わると思います。それにビジネスシーンを考えた時に、言葉に説得力も出るはず。
ダレスバッグは、今の日本のビジネスマンの方たちには敬遠され気味だと思うんですが、しっかりとしたバッグでビジネスに臨む方が仕事の結果も付いてきますよね。僕のお客様は、ダレスバッグを愛用されている方はとても多いですよ。

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日本に適した格好のサイジング。

━グレンロイヤルのダレスバッグの魅力を教えてください。

結局のところ、ダレスバッグが日本で敬遠されている理由は大きいことなんですよ。イギリスやヨーロッパの人たちにとっては普通なんですけど、日本で使うには規格がちょっと大きいものが多いです。そういう意味で、グレンロイヤルのダレスバッグは、ほど良い大きさなので使いやすいと思います。それに長く愛用できるモノだからこそ、ブライドルレザーを使っているというところも魅力ですよね。経年変化を楽しめる素材ですので、どんどん味が出てくるのは間違い無く長所だと思います。僕もブライドルレザーはすごく好きで、ブリーフケースやアタッシュケースもすべてブライドルレザーのモノを選んで使っています。このダレスバッグは、ぜひビジネスシーンで使って欲しいですね。オフの日ではなく、何も考えずに仕事でガンガン使っていくのが素敵だと思います。

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モノづくりのすべてを手がけたい。

━パタンナーから、“モデリスト”になった経緯を教えてください。

パタンナーという仕事は、デザイナーの思いそのままを設計図にしていくような仕事です。そうなると、自分の思い描いたモノをなかなか作り上げることができません。次第に、デザイナーと表現が違うことにジレンマを覚えるようになり、結果として“モデリスト”という職業にたどり着きました。これを作るという企画を立て、生地を選び、頭の中に描いたモノを直接型紙に落とし込みます。それをカッターとテーラーに表現の方向性まで事細かく伝えます。そういったすべての作業をコントロールし、完成したスーツを検品して最終的にお客様へお届けするのが私の仕事です。そもそも洋服が好きでこの世界に入ったので、自分の良いと思うモノを形にして、どれだけ責任を持って、どれだけの人に価値を認めてもらえるかということが一番のやりがいです。思い描いたモノが完成した時の喜びはひとしおですね。

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パタンナーという仕事は、デザイナーの思いそのままを設計図にしていくような仕事です。そうなると、自分の思い描いたモノをなかなか作り上げることができません。次第に、デザイナーと表現が違うことにジレンマを覚えるようになり、結果として“モデリスト”という職業にたどり着きました。

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これを作るという企画を立て、生地を選び、頭の中に描いたモノを直接型紙に落とし込みます。それをカッターとテーラーに表現の方向性まで事細かく伝えます。
そういったすべての作業をコントロールし、完成したスーツを検品して最終的にお客様へお届けするのが私の仕事です。そもそも洋服が好きでこの世界に入ったので、自分の良いと思うモノを形にして、どれだけ責任を持って、どれだけの人に価値を認めてもらえるかということが一番のやりがいです。思い描いたモノが完成した時の喜びはひとしおですね。

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価値観が変わることなく
後世に残るのが良いモノ。

━モノ選びの基準を教えてください。

僕たちの若かった時代には、テーラーがあまり表に出ていませんでした。いわゆるDCブームだったんですが、自分はそういうデザイナーズの洋服に興味が持てなかったんです。どちらかと言えば、トラッドに惹かれていたので1930~1940年代の英国製の古着を良く着ていました。若い時からすれば、その年代の洋服がとてもわかりやすかったというのもありますけどね。今は何年代が良いというようなこだわりはないです。古いモノの中にも“悪いモノ”はいっぱいありますからね。その中から振り落とされずに、現代にも残ったのが良いモノだと思います。
だから、僕は今の生活スタイルに合っていて、長く使って楽しめるモノが好きですね。経年変化がないものにあまり興味はないです。

自分の感性で
決めることが大事。

━英国製のプロダクトにどんな魅力を感じられますか?

英国の製品は、質実剛健で長く使えるのが魅力だと思います。実を言うと、英国のモノが好きという感覚はないんです。どちらかと言えば、好きなモノが英国に多かったといった感じです。当然、フランスにだって、アメリカにだって好きなモノはありますからね。自分の仕事はスーツ屋なので、どうしてもルーツはイギリスにあるじゃないですか。そこを教科書的なベースにした上で、自分の感性でどう料理していくかというのが大事だと思うんです。たとえば、買い物へ行く時も裏付けを持って行ったりはしないですね。先に言葉があってからモノを見るのではなくて、無の状態で見て好きか嫌いかを判断することを基本にしています。

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「batak」代表取締役 中寺 広吉さん

「batak」代表取締役
中寺 広吉さん

「batak」代表取締役 中寺 広吉さん

パターン製作、ビスポーク・テーラーリングの基礎および実践での修業後、1994年に自身の会社ノーベルノートを設立。
1999年には代官山にビスポークテーラー「batak」をオープン。2003年よりレディメイド&メイド・トゥ・メジャーブランド「batak House Cut」を伊勢丹、阪急などで展開。
現在は「batak」を日比谷、「batak House Cut」を新宿、大阪、福岡にて展開。
新宿店舗の6Fにある「batak NAKADERA」には中寺氏が立ち、日々ピズポークスーツの仕立てを手掛ける。

photo TRYOUT 
text K-suke Matsuda