No.35
イラストレーターの感性を刺激する、
美しいエイジングのトートバッグ。
イラストレーターエイドリアン・ ホーガンさん
購入したばかりの頃よりも、今の方が美しい。
これからどんな風にエイジングしていくのか楽しみです。
オーストラリアのメルボルンで生まれ、現在は日本を拠点にイラストレーターとして活動しているエイドリアン・ホーガンさん。フリーランスという自由なスタイルでお仕事をされているからこそ、オンオフ問わずどんな服装とも相性の良いグレンロイヤルのトートバッグを重宝されているそうです。今回はエイドリアンさんのお仕事の話と合わせて、愛用されているグレンロイヤルのお話を伺いました。
絵はコミュニケーションを生む芸術。
━イラストレーターを目指したきっかけを教えてください。
僕が生まれ育ったオーストラリアのメルボルンという街には美術館が多く、アートがライフスタイルとして根付いています。無料で展示を観られる場所も多いので、週末になる度に友人と絵を観に行きました。そして、16歳の頃から毎日スケッチブックを持ち歩くようになり、今でもオンオフを問わず四六時中なにかしらの絵を描いています。日本でイラストレーターとしての活動をスタートしてからは6年ほど経ちますが、スケッチブックは良いコミュニケーションツールになるということを実感しました。たとえば、2年くらい前に中目黒の「スターバックス リザーブ®️ ロースタリー 東京」の壁画を描かせていただいたのですが、そのきっかけは僕がカフェでスケッチブックに絵を描いていたら、「アーティストですか?」と製作会社の方々から声を掛けられたことでした。あと、じつは人物画を描いたことはあまりなかったのですが、『ヴォーグ』のファッションイベントを機に似顔絵を描くようになり、日本語の練習をできる上に、色々な話を聞くことができてとても良いと思うようにもなりました。最近は、ライブドローイングをSNSなどで生放送する仕事もあるのですが、絵をそのプロセスまで見せることができたり、みんなで楽しむことができるのは楽しいんです。絵を描くことは、本当に社交的な芸術だと思います。
一つのスタイルにとらわれずさまざまなジャンルに挑戦したい。
━影響を受けたアーティストを教えてください。
日本へ来る前はマネやモネなど印象派と呼ばれる人たちの絵が好きだったのですが、日本に来てからは、一つのスタイルを貫くか、たくさんのスタイルを持った方がいいのかとても悩みました。そんな時に背中を押してくれたのが、デイヴィッド・ホックニーさんというイギリスの画家です。さまざまなスタイルを持つ彼の作品を見て、色々な作風を持っていてもいいんだという自信になりました。色々なことに挑戦してみたいので、最近は70〜80年代の雑誌『POPEYE』で活躍されていた小林泰彦さんという方の、字とイラストが混ざっているようなスタイルを勉強しています。あと、日本に来てから壁画や画材に絵を描くだけではなく、モノに描くということにも興味を持つようになりました。この焼き物は京都の「トキノハ」という器屋さんと一緒に展示会をした時に作ったものですが、日本では絵を買って飾るだけでなく、こういう風にモノにアートを取り入れることが多くて良いなと思いました。モノであればそれを使っているうちに絵もどんどんエイジングしていくので、アプローチとしても面白いと思います。今後はこういう仕事にも積極的に挑戦していきたいですね。
製品の背景にあるモノづくりの姿勢に惹かれる。
━モノを選ぶ際に、どのような基準を大切にしていますか?
何を買う時もレザーやデニムのように、味を出しながら長く愛用できるということをポイントにモノを選ぶことが多いかもしれません。この〈ポスタルコ〉のペンケースはかれこれ6年くらい使っていますし、今日着ている〈ドレイクス〉のツイードジャケットも2年以上愛用しています。昔から気に入ったモノを長く使うのが好きで、必然的にモノづくりにこだわるブランドに惹かれるようになりました。たとえば、僕のお気に入りのスケッチブックは〈MDペーパープロダクト®︎〉というブランドのもので、新潟の長岡市で作られています。紙質の良さはもちろんですが、紙を作るための水をリサイクルして環境にも配慮をしています。実際にファクトリーを観に行ったことがあるのですが、エシカルで熱のあるモノづくりの姿勢に感動させられました。せっかく買うのであれば、そういった思い出を深めていけるようなモノが良いですね。
クオリティが高く、美しさと耐久性にすぐれた製品。
━英国製品のイメージを教えてください。
僕の生まれたオーストラリアはもともとイギリス領ですし、僕自身アイルランドやスコットランドの方に祖先がいます。だから、昔から英国製品にはとても縁があります。同じイギリスの中でも、北の方にはスコットランドのハリスツイードのようなトラディショナルなモノづくりがあり、イングランドではもっと洗練されているような印象があります。どちらにも共通して言えるのは、製品のクオリティが高く、丈夫で長く使えて見た目も美しいモノが多いということでしょうか。じつはイギリスには一度も行ったことがなく、またオーストラリアにとってイギリスはスポーツでいうところのライバル国なので、そこまで興味がなかったんです。でも日本へ来てから日本人のフィルターを通して英国の魅力を知るようになり、とても行ってみたくなりました(笑)。日本にはたくさんの職人さんがいて伝統的なモノづくりを受け継いでいるメーカーが多いですが、英国にもそういうモノがたくさんあると知ったからかもしれません。今日履いている〈エドワードグリーン〉のローファーもそんな影響があって購入したモノの一つです。
日本で出会ったグレンロイヤル。
━グレンロイヤルとの出会いを教えてください。
ブライドルレザー自体は昔からずっと知っていました。祖父が牧場で馬を飼っていて、子供の頃から年に数回遊びに行っていたのですが、その時にブライドルレザー製の馬具を見かけてとても印象に残っていました。それから日本に来て初めてグレンロイヤルをお店で見た時に、トートバッグや財布など、ブライドルレザーを使ったたくさんのプロダクトを展開していることに驚かされましたね。ブライドルレザーのブルームを見てなんだか懐かしい気持ちになりました(笑)。今となっては、オーストラリアでもグレンロイヤル製品を目にするようになりましたが、当時はあまり知られていなかったはず。どうやら〈ラベンハム〉のキルティングジャケットなどと同じように、日本に旅行へ来たオーストラリア人がグレンロイヤルのことを発信したことで人気が高まってきたようです。僕自身の関わりで言えば、縁があってクリスマスギフトのコンテンツでイラストを描かせていただいたことがあります。自分が愛用していることもあり、お声がけいただいた時はとても嬉しかったです。
大切に育てることで、どんどん“美しく”なるトートバッグ。
━愛用されているグレンロイヤルの魅力を教えてください。
僕はフリーランスで活動しているのですが、時にデザイン会社さんやクライアントのところへ行って絵を描くようなこともあります。そういう少しフォーマルな格好をしたい時に役立つと思い、2年前にこのトートバッグを購入しました。ブリーフケースのようにスケッチブッグやペンケース、iPadなどの仕事道具を入れていますが、フォーマルなスタイルにもカジュアルなスタイルにも合わせられるので重宝しています。しかも、全面がタフなブライドルレザーで作られているのに、持ってみると軽くて驚きました。マメにメンテナンスをしなくても綺麗ですし、自然なエイジングの雰囲気がまるで抽象的なアートのようで、個人的には購入したばかりのピカピカの状態よりも美しいと思っています。まわりのクリエイターの方から褒められることも多いですし、この先どんな表情になるのか今から楽しみです。あと、デジタルで絵を描く時に、ハンドクラフト感やあたたかみを出すためにiPhoneのアプリでこのバッグの写真を撮り、カラーパレットを抽出することもありますよ。このトートバッグがまさにそうですが、モノづくりがしっかりしていて簡単に買えるような値段ではないからこそ、モノを大切にする気持ちを育むことができますよね。
photoMasahiro Sano textK-suke Matsuda(RECKLESS)special thanks MIDORI.so
イラストレーター
エイドリアン・ ホーガンさん
1986年生まれ。オーストラリアのメルボルン出身。モナシュー大学卒。2009年からイラストレーター としての活動をスタート。2013年に東京に拠点を移す。現在は、『POPEYE』『TARZAN』などの雑誌、広告、書籍の表紙や挿絵、絵コンテの作成など、幅広く活躍。代表的な仕事に「スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京」の壁画、トゥモローランドの壁画、Lexusの広告など。
http://www.adrianhogan.com
photoMasahiro Sano textK-suke Matsuda(RECKLESS)special thanks MIDORI.so