No.017
セレクトショップの新鋭プレスが
長年愛用するマネークリップ付き財布。
「SHIPS」プレス河野 建徳さん
スタイリストさんやライターさんに、
革のアタリの出方をよく褒められます。
幼少期から父親の“英才教育”を受け、欲しいモノの魅力をプレゼンしてきたという河野さん。それが高じて洋服に興味を持ち、モノの背景や文化を大切にする「シップス」に入社。カジュアル部門、ドレスクロージング部門を経て自社の取り組みや洋服をPRする現在の職に異動されました。今回は、河野さんが約5年前に購入し、「初めて愛着が沸いた」と語る、グレンロイヤルのマネークリップ付き財布と、モノへのこだわりのお話をお聞きしました。
「スタイリングのテーマ」を問われ、鍛えられた日々。
━プレス職に就くまでの経緯を教えてください。
「シップス」に新卒で入社し、今年で4年目になります。初めは、横浜店で勤務し、その後は恵比寿店でドレスクロージングの販売を担当していました。出勤すると毎回先輩方に、“スタイリングのテーマ”を尋ねられて、最初はまったく答えられなかったですね。たとえば、このスーツになぜこのシャツを合わせて、なぜこのタイで、全体のテーマはなんだ、というような感じで問われ、答えられない場合は「出直して来い」と言われていました。それが怖くて、何度かは「映画の『華麗なるギャツビー』です」と言って乗り切っていたこともありましたよ(笑)。今考えると、そのおかげで洋服の感性や知識を鍛えられたんですけどね。そういった修行の日々を経て、今年の3月に念願が叶い現在のプレス職に異動することができました。入社当初から、プレス部門の先輩方と交流があり、お酒の席で業務内容を聞いていましたので、異動してからのギャップはほとんどなかったですね。PR職は一見花形に見えて、わりとどろくさい仕事だなとは肌で感じましたが(笑)。
普遍的な魅力が、英国ブランドの良さ。
━シップスで、英国ブランドはどのような立ち位置ですか?
弊社のお客様には、創業時から通ってくださっているご年配の方も多いんです。そういう方々は、とくに英国の製品を好きな方が多い印象ですね。たとえば、自社の製品に英国の生地を使っていると、「ここの生地を使っているの? 流石だね」と反応されることもありますし、ここ数年、毎シーズン別注させて頂いている「ラベンハム」のアウターを楽しみにされている方もいます。今回の春夏シーズンで好評だった「アシントン」というモデルを、秋冬シーズンでは別の生地を使って展開するのですが、予約段階ですでにお客様の反応も良いですね。そういったことを考えると、シップスの中で本当の“スタンダード”としての位置を占めているブランドが多いのかもしれません。普遍的な魅力があるからこそ、時代を経てもお客様に受け入れられ続けているんだと思います。
「なぜ欲しいのか」を自問自答するのが大切。
━モノを選ぶ時はどんな観点を大切にしていますか?
父親の教育方針で、幼い頃から何かを買ってもらう時に、欲しいモノの魅力をプレゼンしないといけなかったんです。年に一度のクリスマスですら、サンタさんにお願いするプレゼントに対して「なぜ欲しいのか」を説明しないといけなかったですからね(笑)。ですが、今となってはそういう考え方が役に立っていて、直感で興味を持った後に、その製品のバックグラウンドをきちんと調べるようになりました。たとえば、スーツにしても、どこの工場で、どんな生地で、どんな縫製をしているかということが気になりますし、分からないことがあれば知識を持った方に聞くようにしています。その上で本当に心から良いなと思ったモノを手に入れます。ですので、中途半端な気持ちで買うということはほとんど無く、こういう理由だから欲しいというのを明確にしてから買うようにしています。
上質なレザーだからこそ、エイジングを楽しめる。
━グレンロイヤルとの出会いを教えてください。
この財布は、5年ほど前に購入しました。その前には長財布を使っていたのですが、もっとコンパクトなモノの方が良くなり、さらにマネークリップも気になっていたので、色々と探していた時に出会い一目惚れしました。バイカラーの配色も気に入っていますし、マネークリップ式だと、レシートやポイントカードをあまり入れなくなるので、綺麗に使うことができます。しかも、素材はタフなブライドルレザーを使用しているので、5年経った今も綺麗ですし、アタリの出方もかっこよくて、よくスタイリストさんやライターさんにも褒められるんです。また、上質なブライドルレザーでなければ、ここまで美しくエイジングはしないですよね。決して、マメにメンテナンスをしているわけではないのですが、気になった部分を手で磨くくらいでツヤ感も出ますし、本当に丈夫だなとつくづく感じます。これまでに5年近く愛用している財布はなくて、初めてと言ってもいいほど愛着が沸いていますよ。サイズ感もぴったりですし、自分のライフスタイルに合っているんだと思います。
ボールペンと革靴は、英国製品を愛用。
━グレンロイヤル以外に、長年愛用されている英国製品はありますか?
「ヤード・オ・レッド」のエドワーディアンというボールペンは、成人祝いに父親からもらって以来、7~8年愛用しています。高校を卒業した頃、とあるショップで、サイン用のペンとして使っていたのが印象的でした。頑丈なケースからペンを取り出して、「こちらでお書きください」と言われた時にかっこいいなと思いましたね。一度も磨いてないのですが、シルバーのくすんだ良い味が出ていて気に入っています。あとは、革靴も英国製品が多いですね。「チャーチ」を2足と、「ジョン・ロブ」を1足、「クロケット&ジョーンズ」を3~4足持っていて、どれも数年愛用しています。
遊びのあるブランドよりも、定番ブランドと合わせたい。
━グレンロイヤルを合わせるならどんなスタイルがおすすめですか?
先ほどの「スタイリングのテーマ」の話もそうですが、国縛りで洋服を合わせるというのもセオリーとしてあるんです。たとえば、全身イタリアブランドの中に一つだけ変にアメリカモノが混じっていたらバランスが悪いですよね。ただ、近年ではそういったミックスも、今っぽくてアリという流れにもなってきていますが。一方で、「ラベンハム」や「グレンロイヤル」のような定番ブランドであれば、個人的には同じ英国製品と合わせた方がかっこいいと思います。
たとえば、「フォックスブラザーズ」のフランネルで仕立てられたスーツに、「フォックスアンブレラ」の傘、「グレンロイヤル」の革小物、「ジョン・ロブ」や「エドワードグリーン」の革靴、のようなスタイリングでまとめた方をもし見かけたら、靴の先から頭の上まで舐めるように見てしまいますよ(笑)。「グレンロイヤル」のような歴史あるブランドだからこそ、同じような背景を持つ質実剛健なブランドの製品と合わせた方がサマになると思います。
photoTRYOUT textK-suke Matsuda
「SHIPS」プレス
河野 建徳さん
1991年生まれ。大学を卒業後、「シップス」に入社。横浜店、恵比寿店でドレスクロージング部門の販売員として勤務し、2018年3月より兼ねてより念願であったプレス職に就任。カジュアル部門とドレス部門のPRに奮闘中。サッカー&ゴルフ好きが高じて、最近はもっぱらフットゴルフに傾倒中。競技人口が少ないことを理由に、密かに日本代表を目指すことを企む。
photoTRYOUT textK-suke Matsuda