GLENROYAL of Scotland

コンセプト

クラフトマンシップを尊重したものづくりを行なう
グレンロイヤルの新たな試み
「GLENROYAL meets CRAFTSPEOPLE」。
ブランドの象徴的な素材である
ブライドルレザーと共鳴する
伝統的な素材や特別な技術を継承する
クラフトマンにフォーカスし、
新たなプロダクトを生みだすプロジェクトです。
第2回目は東京を代表する革
「ピッグスキン」の中でも、
生産背景において環境への影響が少なく、
革本来の表情を残しながら
純白という希少な特性を持つ
「オネスティーホワイト」に着目。
開発者である勝川氏によるデザイン監修のもと、
新たなプロダクトが誕生しました。

#01
H.KATSUKAWA
について

勝川氏は国内のシューズメーカーでの勤務を経て渡英。ノーサンプトンにある公的職業訓練校であるトレシャム・インスティチュートのフットウェアコースに入学し、靴のデザインと製作を本格的に学びました。その後、著名なデザイナーであるポール・ハーデン氏に師事。帰国後、靴のデザインと製作を続け、2006年に自身のブランドを立ち上げました。これまでにJLIAレザーグッズ・デザインアワードで審査員特別賞を受賞し、世界最大のメンズファッション見本市、ピッティウォモにてポップアップ招待デザイナーとして7回連続で出展。現在は東京・目黒で、靴の修理や皮革のアフターサービスなどを行うライフスタイルサービスショップ「THE SHOE OF LIFE」を経営し、自身のブランドであるH.KATSUKAWAを主宰しています。
これまでに勝川氏が開発したレザーの中でも、特に話題となったのがニベレザーです。これは皮の中で体に最も近い部分を鞣したもので、起毛したような不均一な素材感による豊かな表情が特徴。とても柔らかいので革として製品化するのが難しいという、とても珍しいレザーです。このニベレザーはポーターやブリフトアッシュともコラボレート。他にもフレッドペリーをはじめ、さまざまなブランドとの競演を果たしてきました。
今回のプロダクトは、自身が開発し、東京の革産業の技術の結晶ともいえるオネスティーホワイトをメインマテリアルとしつつ、イギリスでの経験やこれまでのデザインのキャリアを駆使してバッグや財布といった革小物にまとめ上げたもの。勝川氏ならではのアプローチで、グレンロイヤルの故郷であるスコットランドへのオマージュを表現しています。

H.KATSUKAWAについて
東京でしか作ることのできない純白のピッグスキン、オネスティーホワイト

#02
東京でしか
作ることのできない
純白のピッグスキン、
オネスティーホワイト

オネスティーホワイトとは、勝川氏が2019年に発表した純白のピッグスキンのこと。これまでシューズデザイナーやレザーアーティストとして、さまざまなレザーに触れてきた勝川氏が海外では見ることがなく、豚肉文化の長い日本だから誕生させることができた真っ白なピッグスキン。そして、このレザーを唯一開発することができたのが、昔から革なめしの歴史があり、その中で卓越した技術を継承してきた東京の隅田区だったのです。
これほど真っ白なピッグスキンは世界でも例がなく、現在十数社ある墨田区のタンナーでもつくることができるのは1社のみ。さらに、製造から販売、再利用までの一連のライフサイクルのなかで、環境への影響が少ないレザーが認められる日本エコレザー基準にも適合しています。関東で食肉として食べられた後に残った豚の皮が再利用され、東京で環境に優しいレザーとして生まれ変わるオネスティーホワイト。ものづくりの背景に潜むストーリーがメッセージとなり、さらなる価値を生み出しています。

東京でしか作ることのできない純白のピッグスキン、オネスティーホワイト

#03
ブライドルレザーと
オネスティーホワイトの
共通点

これら2つのレザーに共通するもの。それは丁寧な手作業による多数の工程を経てつくられること。皮を革へ変貌させる鞣しの工程を短縮することは簡単ですが、それでは自然な風合いやエイジングを表現することができません。ピッグスキンの特性は使い込むとレザーの繊維がほぐれてより柔らかくなり、オネスティーホワイトは白さをキープしながら、よりレザーらしい色合いや柔らかな風合いがアップ。一方のグレンロイヤルのブライドルレザーは使い込むほどに艶感や深みが増していきます。ブライドルレザーとオネスティーホワイト、それぞれ独自の魅力を生み出すためにはものづくりに真摯に向き合い、時間をかけて作業する以外にありません。その結果、唯一無二の個性が宿り、限られたタンナーしかつくることができないクオリティを誇るレザーが出来上がるのです。

ブライドルレザーとオネスティーホワイトの共通点
ネスティーホワイトのなめし

#04
オネスティーホワイトの
なめし

今では9割以上が海外へ輸出されている東京産の豚の原皮。海外で評価されている理由は、飼育環境が衛生的なため、皮自体がきれいな点にあります。そして、鮮度がよい状態でタンナーに運ばれるため不純物が付きにくく、これが真っ白な色を出しやすい理由のうちの一つになっています。
そもそもなめしとは皮のコラーゲン繊維となめし剤を結合させ、安定した状態である革へ変化させること。ピッグスキンのなめしの工程は牛革と大きく変わることなく、皮の汚れなどを取り除くなどして前処理した後、なめし剤に漬け込んでなめしを行い、水洗いや乾燥などを経て染色、仕上げを行います。
オネスティーホワイトのこだわりといえるのが、原皮の脂を取り除く脱脂の工程を通常の5~10倍もの手間暇をかけて念入りに行っていること。脂が残っていると、革がエンジングされていく際に黄ばんでしまう黄変と呼ばれる現象が起きるためです。そして、なめしにはクロームを使わない環境に配慮したなめし剤を使用しています。

オネスティーの意味とは

#05
オネスティーの意味とは

染色はタンナーが独自に開発した非公表のレシピによる染料で行われます。一般的に白いレザーをつくろうと思えば、白い顔料で革をコーティングすれば出来上がります。しかし、エイジングが楽しめる本当に白いレザーをつくるには、前述の通り非常に手間暇がかかります。オネスティーホワイトとは、本当の意味での嘘偽りのない白という意味。多大な労力が必要な工程を踏むことで、革が真っ白になっていくものづくりへの情熱を表わしたネーミングなのです。

 

COLUMN
ピッグスキンの魅力

ピッグスキン

ピッグスキンとは豚革のこと。一般的な牛革と比べると柔らかくて肌馴染みがよく、耐摩耗性や耐久性にも優れています。表面に3つの穴が開いて貫通しているため、通気性が優れていることも特徴のひとつです。実は、ピッグスキンは国内で原皮を供給することができ、すべての工程を日本国内でできる唯一の革。近年、日本で鞣された革の品質が海外で評価されたことで、ピッグスキン自体のイメージもよくなっているのです。

ピッグスキン
東京都墨田区

その日本産ピッグスキンの約9割を生産しているのが東京都墨田区。隅田川と荒川に挟まれ豊富な水源に恵まれているこのエリアには古くから皮をなめす業者が多くいて、戦後に豚の畜産が増加したことでピッグスキンを生産するようになったといわれています。豚肉の食文化が根付く東京で、消費される豚の皮を原料としてピッグスキンはつくられています。

#06
プロダクトデザイン

プロダクトデザイン

オネスティーホワイトとグレンロイヤルのメインマテリアルであるブライドルレザーをコンビネーションさせた今回のコレクション。スコットランドの民族衣装にも使われているキルトやタッセルをデザインに取り入れてグレンロイヤルの故郷であるスコットランドらしさを表現しつつ、オネスティーホワイトの柔らかさを生かしたシルエットが特長のプロダクトです。

  • ラウンドジップ型 長財布

    ラウンドジップ型の長財布は、スタッズの付いたキルトとタッセルがアクセントになったポケットを備え、ここにはカードなどを入れることができます。側面から見ると緩やかな台形になっているためマチが広く収納性が向上し、中には一般的な大きさのスマートフォンなら収納できるポケットが付いています。ジップの持ち手には小型のタッセル形状の引手がつきます。

  • サコッシュ

    下部にキルトが付いたサコッシュはファスナーで開閉するオーソドックスなデザイン。中の生地はグレンロイヤルのブランドカラーであるグリーンになっています。斜めにカットしたポケットはスマートフォンなど使用頻度が高い持ち物を入れるのに役立ちます。こちらにもジップの持ち手にタッセルがつきます。

プロダクトデザイン

最後に紹介する巾着バッグは、ドローコードがショルダーストラップになるアイテム。スマートフォンや財布、ハンカチなど、日頃持ち歩くアイテムが収納しやすいサイズ感にしました。こちらもタッセルとスタッズ付きのキルトが付いています。いずれのアイテムも性別や年齢を問わず使えるデザインが特徴です。

プロダクトデザイン