GLENROYAL of Scotland

       

No.001

イラストレーターがこだわる
「経年美化するモノ」と暮らし

イラストレーターソリマチ アキラさん

グレンロイヤルのトートバッグを手に入れたのは10年前。
最初はブラウン、1週間後にはブラックも手に入れていました。

今回は日本国内だけにとどまらず、海外でも活躍を続けるイラストレーターのソリマチアキラさんのワークスタイルと長年愛用するグレンロイヤルのトートバッグについてお話しを伺いました。

ソリマチ作品にはベル・エポックの雰囲気が漂う

━━スタイリッシュな作品はどこから生まれるのですか?

自分でもスーツを着ますし、もともと洋服が好きでファッションイラストを描き始めたので、ちょっとしたディテールやラインにこだわって描いています。理想をいえば「かっこよく」、「おもしろく」、「わかりやすい」。その3つを一度に表現できるイラストを描きたい。最近はイギリスで創刊されたライフスタイル誌「モノクル(MONOCLE)」などでも仕事を頂いています。


僕の好きな作家はフランス・パリで1900年代初頭のベル・エポック(良き時代)に活躍していた、SEM(セム)という方です。本名がジョルジュ・グルサ(Georges Goursat, 1863-1934)。この人はココ・シャネルとも親交が深く、マキシム・ド・パリのメニュー・イラスト作者としても有名です。「上流社会の記録係」として、フランス社交界の有名人を描くのが仕事でした。彼のイラストは本当にスタイリッシュ。とにかく描く線がかっこいい。表現の仕方やディテールに「当時の時代っぽさ」が出ていている、そんなところが好きです。


他に影響を受けたのが、昔のプレイボーイ誌やニューヨーカー誌で描かれていたもの。カトゥーン作家のイラストや、漫画っぽいタッチも好きです。それらは私が20代半ばで、ちょうどイラストレーターになり始めの頃に古本屋で目にする機会が多くなり、一時期は60年代のプレイボーイ誌をコレクションしていました。


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ラフを仕上げるまでが勝負

━ソリマチ・ワールドができるまで

イラストは「直感的にイメージができるもの」と、「長く時間をかけてもイメージが生まれにくいもの」の2通りあります。仕上げまでの時間は仕事によって違いますが、ラフスケッチを仕上げるまでに最も時間がかかります。イメージができるまではやはり「生みの苦しみ」があります。ひねってもひねっても全くアイデアが浮かばないこともあります。一方で、電話で打ち合わせしている数分で、ラフができあがる場合もあります。


得意分野、不得意分野は特にありませんが、「何でもいいので好きなように自由に描いてください」とリクエストされることが一番難しいです。それを言われると、かなり悩みますね(笑)。


いいリフレッシュタイムが いい作品に繋がる

━リフレッシュする時間はありますか。

朝は8時くらいに起きて、9時くらいから仕事を始めます。昔は夜遅くまで仕事をすることもありましたが、最近は、遅くても10時くらいまでに仕事を終えないと、精神的にも体力的にもちません。いつも締め切りに追われていますね(笑)。

打ち合わせに出掛ける時が気分転換の時間です。訪問先の出版社や広告代理店がある街を散策しています。特に洋書の古本屋さんが好きで、神保町に行った時は必ず立ち寄る古本屋もあります。


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愛用トートバッグは ブラウンとブラック

━グレンロイヤルとの出会い

グレンロイヤルはブライドルレザーを使ったアイテムを作っている、スコットランドを代表するブランドであることは知っていました。このトートバッグを手にしたのは、10年くらい前。最初に一目惚れしたブラウンを手に入れて、1週間後にはブラックを買い足しました。持つバッグのカラーは、基本的には靴の色に合わせますが、黒系やグレー系のスタイルに合わせるためにブラックも手に入れました。打ち合わせで外出する時はたいていこの2つのトートバッグか、もう少しカジュアルな表情をもつグルカのNo.5を使い分けています。ジャケパンにもスーツスタイルにも合わせやすいので重宝しています。


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茶色へのこだわり

━最初にブラウントートを手に入れた理由

どちらかと言えば濃い茶色が好きです。なんとなくエレガントな雰囲気を持っているところですかね。ダーク系の茶色は色に深みがあって、チョコレートブラウン、アンティークブラウン、ダークオークなど細かく色分けされています。エイジングにより深みを増した茶色も魅力的です。特に秋冬だとナチュラルカラーというか、枯葉とか木の色に近いから、映えるところが好きですね(笑)。


ブライドルレザーは経年変化+タフさも魅力

━長年使い続けていて、気に入っているところは?

グレンロイヤル十八番といえるブライドルレザーは昔から好きです。使っていくうちに徐々にブルーム(革の表面に現れる白い粉)が落ちていき、美しい光沢のある表情が少しずつ現れてきます。そういった経年変化が楽しめるところと、内側もあえてライニングはなく、オールブライドルレザーの一枚革仕立て。これも良い素材を使っているからできること。メンテナンスはブライドルレザーに使える栄養クリームをたまに使うくらいです。


このトートバッグはB4書類まで入る大きさで、打ち合わせに行く時には手帳や財布、スケッチブックなどを無造作に入れています。内側に少し大きなインナーポケットもついていますが、これも使いやすい。財布やパスモなど大切なものを入れるのに役立っています。

形が一般的なものよりも少し大きめで縦長というのも気に入っています。縦に深いと入れている物が落ちにくいですし、持ち手も肩に掛けられる長さがあるため、重いものを入れた時にも便利です。

長年使い続けて最も気に入っているのが、耐久性です。本当にガンガン使っても壊れない。レザーバッグを長く使っていると、ステッチの縫い目がほつれてきたり、底も擦り切れがちになります。しかしこのトートバッグは「全然へたれない」。いつも「作りがいいな」と実感しています。


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好きなアイテムは使い込むほどに美しさが増す

━モノへのこだわりについて教えて下さい。

バッグもそうですし、やはり素材の質や作りにこだわっていて、長年使っていくうちに良くなっていく「経年変化」というか、「経年美化」していくものが好きです。しっかりとした作りで、丁寧に使っていくと徐々に美しさが増していく。イギリスの革靴や革小物もそうです。


古着を買うのも好きですが、新しい物を着込んで古着っぽくなっていくのを楽しみながら、モノや服と関わっています。スーツなどはビスポークで作っていますが、良い素材で良い作りのものは10年、15年と着れば着るほど風合いがよくなり、体に馴染み、愛着も生まれます。自分のイメージする黄金比で作ったものなので、流行に左右されない、オーセンティックなスタイルを大事にしています。


スーツ以外だと、アクアスキュータムのコートやグローバーオールのモンティも愛用していますし、リーバイスなどのデニムも穿きます。どれもが使い込むほどに「経年美化」していくものばかり。グレンロイヤルと初めて出会った時もそうでした、「新しいけど使い込んでいくうちにきっと美しくなる」と思い、すでに10年です。これからも20年、30年と楽しみながら使い続けたいです。


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イラストレーター ソリマチ アキラさん

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イラストレーター
ソリマチ アキラさん

イラストレーター ソリマチ アキラさん

1966年東京生まれ。91年よりフリーのイラストレーターに。 国内外の雑誌(『MONOCLE』、『POPEYE』『MEN’S Precious』)の挿絵、広告などのイラストを手掛けている。ファッションのみならず、音楽、酒の分野にも造詣が深く、どこか懐かしいタッチで描かれたソリマチ・ワールドは海外からも注目されている。

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