GLENROYAL of Scotland

       

No.41

モノの振り幅に惹かれる編集者が到達した、
究極のマネークリップ

編集・ライター仁田 恭介さん

僕の仕事も、住んでいる街も、愛車もすべて振り幅を持っている。
グレンロイヤルもそういう魅力を持つプロダクトだと感じました。

編集者として、雑誌の企画やページをディレクションするだけではなく、さまざまなジャンルの媒体への寄稿、さらに時にはスタイリングまで自身で手がけている仁田恭介さん。そのマルチな才能の根底には、片一方に重心を置くのではなく、広く振り幅を持っていたいという思いがありました。この価値観は、自身のモノ選びやライフスタイルにも息づいており、だからこそグレンロイヤルのプロダクトにもシンパシーを感じられたそうです。今回、愛用されている小銭入れ付きマネークリップをお持ちいただき、仁田さんのこだわりについてお話を伺いました。

仕事以外の時間も充実する、鎌倉での暮らし。

━仁田さんは、数年前に東京から鎌倉へ拠点を移されています。その後、ライフスタイルに変化はありましたか?

取材で訪れるたびに「鎌倉に住みたい」という思いが募り、2年半ほど前、洋館と古民家がくっついたような築80年の良い物件が見つかったので即決。僕が今住んでいる「長谷」では、古い物件がなかなか出ないということも後押しになりました。海と山に囲まれていて、大仏や長谷寺のある観光スポットでありながら、由比ヶ浜の方へ行けばサーファーたちで賑わい、鎌倉文士が多く住んでいた土地柄もあって文学の薫りも残っている。小さいエリアに相反するスタイルがぎゅっと詰まっているところに惹かれました。引っ越してからは、東京に住んでいた頃よりもさらに仕事以外の趣味の時間が充実するようになりましたね。毎日料理をして、休日は丹沢界隈の自然の中でキャンプを楽しんでいます。


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飛んできた球を、120%の力で打ち返すのみ。

━編集や執筆だけではなく、スタイリングまでご自身で手がけられているのはなぜですか?

スタイリストが原稿を書く、ということはあっても、ライターがスタイリングをするのは珍しいですよね、とよく言われますが、昔は編集者がなんでもやるのが当たり前。役割をセグメントするのではなく、何でもできるに越したことはないと思っていて。どういう立場であろうと飛んで来た球をしっかり打ち返そうとしているだけで、偉そうに仕事のバランスを考えたことは一度もないんです。編集として、ライターとして、スタイリストとして、仕事が来たらとにかく全力で頑張る。ここ数年は、「仁田はこういうものが好きだからお願いしよう」と思ってくださるまわりの方々に恵まれているので、より一層やりがいが強くなりました。ユニクロの『Lifewear Magazine』がまさにそういう仕事で、もともとトラッドやプレッピーなスタイルが好きなこともあり、素質や趣向をわかったうえで依頼をいただけるのはとても嬉しいです。


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振り幅を感じるモノに、心惹かれる。

━モノを選ぶ時に大切にされている価値観はありますか?

モノだけでなく何においても、振り幅に惹かれます。例えば、住んでいる鎌倉市長谷は、サーファーもいれば着物姿の人もいる。うちの愛犬はボーダーコリーなのですが、イギリス原産の牧羊犬種でありながら、ディスクドッグやアジリティなどの大会で優勝常連ということもあって、頭脳だけでなく運動神経もすごい。愛車のランドローバー「ディスカバリー2」もそう。ゴリゴリな岩場であろうとも難なく突破してしまうオフロード性能を備えつつ、いいホテルにだって行ける品の良さがある。知性と野生というか、静と動の対極というか、そういう振り幅のあるモノに惹かれます。


━英国のプロダクトで、ご自身のスタンダードにされているモノはありますか?

このヴィンテージのダッフルコートはアメリカの「ブルックスブラザーズ」のものなのですが、じつはイギリスの老舗ブランド「インバーティア」がOEMで製造していたものなんです。今はなきムーアブルック社製の立体的なヘリンボーン織りウールと、褪せたようなコーヒー色が好みで、ほかのカラーも含めて何着か所有しています。他にも、「オリバーゴールドスミス」の眼鏡、「ピアレス」の折り畳み傘、「ヤード・オ・レッド」のボールペンなど、毎日持ち歩いている仕事道具も英国製が多いですね。


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リペアし、育てながら、一緒に生きていく。

━長く愛用されているモノについて教えてください。

これも振り幅の話に通ずる部分があると思うのですが、古くてダメージのあるものを修復して蘇らせるのが好きなんです。たとえば、気に入って何年も着ている「ウィリス アンド ガイガー」の50’sハンティングジャケットは、古着屋で状態が悪過ぎて数千円程度で譲っていただいた思い出の品。希少なNYタグなので状態が良ければ6万円くらいでもおかしくない代物らしいです。そうは言っても、本当に直せるのか怪しいくらいボロボロだったので、袖をぶった切り、ボディを少しずつ補修しながら今の状態まで育てあげました。愛車の「ディスカバリー2」も、電気系統の故障が多いモデルとして知られていて、トラブルのたびに毎回「いよいよ終わったな……」と思うのですが、習志野にある「ミッドランド」という修理店の手にかかるとビックリするぐらい生き返るんですよ。そういう風に、気に入ったものを修理しながら一緒に生きていくというような感覚がとても好きです。


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嘘偽りのない、「HAND MADE IN SCOTLAND」。

━グレンロイヤルというブランドの印象を教えてください。

雑誌の特集で、「英国のモノ図鑑」などをやる時にリースでお借りしていたこともあり、ブランド自体のことはかなり昔から知っていました。ですが、良さを再確認したのはイラストレーターのソリマチアキラさんの影響かもしれません。取材でお会いするたびに、ブライドルレザーのトートバッグを愛用されているのを見て、素直にかっこいいと思いました。ブランド名を隠したとしても、誰しもがこれは上質だ!と納得する面構えですし、外側だけではなく、内側のエッジの処理などにも丁寧にこだわられていますよね。本当に、刻印されている「HAND MADE IN SCOTLAND」は伊達じゃない。この言葉からは、誇りを持ったモノづくりを続けているということを感じさせられますし、生半可な心意気では謳うことはできないですからね。個人的には、華美ではない、控えめなデザインにも好感を持ちました。アイコンであるブライドルレザーも、コードバンほど光沢に主張があるわけでもないですし、手入れをしても、しなくても、それぞれ魅力的に見えるというのは良さだと思います。


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どんなスタイルにも合う、振り幅のあるマネークリップ。

━小銭入れ付きマネークリップの魅力を教えてください。

昨年の2月に「ブリティッシュメイド 青山本店」で購入しました。支払いが電子決済に代わり、小銭を使うことが随分減ったので、良い機会だと思いマネークリップに買い換えました。購入当時はまだ多少の小銭を持ち歩いていましたが、今はまったく使わなくなってしまったので、外側のポケットをカード入れとして活用しています。OXFORD TAN(オックスフォードタン)の色を選んだのは、もともと茶系が好きだから。これまで、さまざまなメーカーの財布を使ってきましたが、それらと比べても圧倒的に愛着を持っています。その理由は、TPOを越える器があるからです。「バブアー」のオイルドジャケットが良い例ですが、スーツの上にも着られますし、ハンティングスタイルにも合いますよね。このマネークリップも同様に、カチッとしたスーツやジャケパンにも、ヘビーデューティな格好にも難なく合わせることができます。英国の製品らしくタフで、また良い意味で控えめなデザインだからこそ、どんなスタイルにも似合う振り幅を持っているのが魅力だと感じました。


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編集・ライター 仁田 恭介さん

photoKenichiro Higa textK-suke Matsuda(RECKLESS)

編集・ライター
仁田 恭介さん

編集・ライター 仁田 恭介さん

1983年生まれ。スタイリストのアシスタント、出版社での編集経験を経て、2009年よりフリーランスに。これまで寄稿した雑誌は、『POPEYE』『dancyu』『GINZA』『&Premium』『BRUTUS』『TARZAN』など。ファッション・カルチャー雑誌を中心に活躍し、ユニクロの発行する『Lifewear Magazine』など、フリーペーパーやカタログ、WEBでも編集・執筆を手がける。トラッドやプレッピーをベースにしたロジカルな感性にも定評があり、自らスタイリングまで手がけることも多々。

photoKenichiro Higa textK-suke Matsuda(RECKLESS)