GLENROYAL of Scotland

ITEM 003

Briefcase

ブリーフケース

ブリーフ(書類)を持ち運ぶためのカバン。
ダレスバッグやアタッシェケースなども含む総称で、ハンドルの付いた箱型のバッグを指します。書類を雨風などから守るためファスナーやフラップが付いており、素材にはレザーを使用しているモノが一般的です。
ビジネスシーンを考慮し、表面に凹凸のない上品さと、ヘビーユースに耐えうる強度を兼ね備えた、英国発祥のブライドルレザーを使用するブランドも多く、現代では、雨風に強いナイロンや、ナイロンとレザーのコンビなどの素材で作られることもあります。

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今やバッグが
主役になり得る時代。
ブリーフケースはスタイルを
格上げしてくれます。

メンズファッション誌の編集者時代に
培った知識を活かし、さまざまな仕事を通じて
スタイルの大切さを発信し続ける森岡弘さん。
モードからスーツスタイルまで
幅広いファッションに精通する氏に、
ブリーフケースの魅力について
語っていただきました。

ファッションディレクター/スタイリスト
森岡 弘さん

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服装と同じく、
バッグにもTPOが大切。

━レザーのブリーフケースの魅力を
教えてください。

今や帽子や眼鏡、バッグまでが単なる“ファッション小物”ではなくて、主役に近い存在になってきていると思います。そう考えると、スタイルを作る上でバッグで仕上げるということも重要です。僕のクライアントでも、スーツはちゃんとしていても、バッグで台無しにしているというケースは多いです。バッグは自分を表現するプレゼンテーションツールでもあるので、気の利いたモノを持つだけでスタイルが演出できます。昨今は、ビジネスパーソンでもナイロン製のブリーフケースやリュックを使っている方を見かけますが、重要な会議の場でそういったバッグを使用していると間違いなく印象は軽く見えます。そういう意味では、レザーのブリーフケースは自分を格上げしてくれるモノと言えます。

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たとえば、時代的にタイトなスーツを好む経営者の方もいますが、タイト過ぎるスーツに洒落っ気は有っても品格や信頼感が見えてきません。もし服装に知性や洗練さ、安心感を求めるのであれば、そこには行き着かないはずです。それと同じで、ナイロン製のバッグやリュックは、オシャレで便利だと思いますがふさわしくない場合もあるんです。たしかに、世の中的には重たいのは嫌だとか、肩から背負った方が楽という考えもありますが、見られ方やTPOは意識した方が良いと思います。もちろんルールではないですが、誰もが同じように受ける印象というのはあるので、どのようにみられるかという意識は大切ですね。

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敷居が高いからこそ、
パートナーになる。

━グレンロイヤルの印象を教えてください。

男の世界では基本の「き」だと思いますが、職人さんが魂を込めて作り上げたモノを持つというのは、僕たちが気合いを入れたり、自信を持つ時の一つの手段ですよね。そういう意味では、グレンロイヤルは質実剛健な作りを守り続け、本質を知る人から愛されている、良い意味で“敷居の高い”ブランドだと思います。長く愛用できるモノだからこそ、ほったらかしにするのではなく、こまめにケアをして一緒に育っていける逸品です。手に入れた時の形がベストではなくて、何年も共に時間を過ごすことで最高の表情が出てきます。
やはり、男の持ち物はパートナーでもあるので、綺麗に使い続けることは安定感を演出する意味でも重要だと思います。丁寧に手入れをされているバッグは、ビジネスにおいて持ち主の丁寧な仕事ぶりを語りますからね。だからこそこれみよがしではない敷居の高さは必要なんです。
そういうわけで、手に入れたからには気持ちを込めてつき合うべきブランドだと思います。

カッチリとした印象なのに、
驚くほど軽い。

━グレンロイヤルのブリーフケースの
魅力を教えてください。

何よりも魅力的なのは、軽さですね。現代のすべてのプロダクトにおいて、重いというのはネックだと思います。コートにしても、スーツにしても、「重く見えるけど実は軽い」というのがまさにメインストリームになってきていますよね。
たとえば、英国らしい重量感のあるガシッとした生地のコートなのに、着てみるとものすごく軽く柔らかいというようなプロダクトは増えています。昔のブリーフケースはとにかく重たくて、資料を入れたらさらに重くなりました。ところが、このブリーフケースは上品でカッチリとした雰囲気とは裏腹に、持ってみると驚くほど軽い。英国でのモノづくりや、ブライドルレザーという伝統的な素材にこだわりながら佇まいは変えず、機能や使い勝手は時代に合わせて進化しているというのはとても素晴らしいことだと思います。

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編集者から、究極のなんでも屋に。

━現在のお仕事のスタイルについて
教えてください。

正直に言うと、仕事の方向性に関してはノーアイディアです(笑)。もっとビジョンを明確にした方がいいとアドバイスをいただくこともありましたが、森岡にこの仕事を頼んだらどうなるんだろうと、面白がって皆さんにいじってもらえればと思っています。
キャリアのスタートは「MEN’S CLUB」の編集者で、そこからの広がりでスタイリストになりました。そうこうしているうちに、「スターフライヤー」の制服を作らせていただいたり、カタログの制作や出版、講演会やトークショーをさせていただいたり。もちろん有名人のスタイリングや雑誌の仕事もしていますよ。時代の中での様々なニーズに対し、お手伝いをさせてもらい今にいたるという感じですね。
じつは、100%の自信を持って臨める仕事というのはなくて、いつも不安感を持っています。

だからこそひとりよがりにならない丁寧な仕事を心がけています。編集者だったことが生きていて、読者が変われば求めることも変わる。
提案する場所によって正解が違うということをわかっているんです。スタイリスト目線だと、「今の時代、これが一番かっこいいじゃん」という考えになりがちですが、僕は頭が編集者なので、着地点を聞いた上で提案しますし、自分の答えと違っていてもそこに対してのストレスがないんです。今の時代は、「クリエイティブ」と「リアル」というものが限りなく近づいているので、一人歩きするクリエイティブにはあまり意味を持たないケースが増えています。そういう意味で、僕のような人間を必要としてもらえているのかなと思っています。

たくさんの「気づき」を
持つことが大事。

━良い仕事をするために意識している
ことを教えてください。

固定概念に囚われないようにすることかもしれないですね。日常の様々なシーンで気づきが必要だと思うんです。
たとえば、リゾート地へ行った時に空と海と咲いている花の色の組み合わせが綺麗だなと思ったとします。そうすると、自分のコーディネートに何かを足したいと思った時に、あの時の色をプラスしてみたらどうなるだろうと。すると色遣いの選択肢の幅が広がりますよね。写真集を見る、街でスタイリッシュな人を捜す。人気の店に行く。

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そんな風に、日々の生活の中においてプチ感動でも良いのでたくさんの気づきを持つことが大事だと思います。意外にその時に感じた想いって何年経っても残っているものなんです。やっぱり、何事もスルーをするのが一番良くないです。嫌いの反対は好きだったりもするので、まずは食わず嫌いをしないで試してみる。
今は嫌いでも、10年後好きになっちゃっているということもありますからね。気づいておく、知っておく、記憶に残しておくということに悪いことは何一つないんです。そういう引き出しをたくさん持っている人は、自分のスタイルにも影響するので必然的にセンスが良くなりますよね。

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プライスに対しての
付加価値が大切。

━モノを選ぶ際に大切にしている基準は
ありますか?

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気になるのは、クオリティバランスの取れていないモノですね。たとえば、1万円でも5000円の価値にしか感じられないモノは高いですし、10万円でもそれ以上の価値を感じられれば自分の中では安いという考えで見ています。そこの付加価値は作り手の想いやこだわりだったりしていて、プロダクトからは伝わってきます。僕は基本的に“一生モノ”というのはないと思っているんです。モノ自体は一生残っても、着る人のスタイルや感性は変化しますよね。ですが、職人さんが気合いを入れて作ったモノに関しては、その価値観や思想に共感しているわけですので、仮に今のシーズンしか着ないとしても楽しいと思います。しばらく使わなかったとしても、手元には置いておきたい、時代の変化の中でまた使う時が来るかもしれないですからね。

ファッションディレクター/スタイリスト 森岡 弘さん

ファッションディレクター/スタイリスト
森岡 弘さん

ファッションディレクター/スタイリスト 森岡 弘さん

大阪府出身。早稲田大学を卒業後、株式会社ハースト婦人画報社に入社。
販売部、広告部を経て「MEN’S CLUB」にて編集職に従事。
1996年にスタイリストとして独立し、株式会社グローブを設立。現在は、芸能人、スポーツ選手、政治家、企業家などのスタイリングのほか、企業のユニフォームデザイン、ブランドのコンサルティング、広告ビジュアルやカタログ制作のディレクション、出版、講演会など活躍は多岐にわたる。

photo TRYOUT 
text K-suke Matsuda