GLENROYAL of Scotland

       

No.013

書店オーナーが手がけた
スペシャル仕様のグレンロイヤル。

「森岡書店」代表森岡 督行さん

夜空の月のような二面性をイメージ。
自分なりの英国を落とし込みました。

1冊の本を売る本屋。その唯一無二なスタイルを作り上げたのが、長年書店業に携わる森岡督行さん。茅場町から始まり、現在では銀座に移転した自身の書店「森岡書店」を拠点に、執筆、ブックディレクション、キュレーションなどさまざまな仕事に取り組んでいます。氏が愛用しているのは、自身が4年前に手がけたという別注のグレンロイヤル。思い出とともに、その魅力を伺いました。

書店業を中心に、繋がっていく仕事。

━現在の仕事のスタイルを教えてください。

仕事の中心は「森岡書店」の運営です。具体的には、1週間ごとに変えながら、1冊の本の販売や、そこから派生した展覧会などを行なっています。ここ1年ほどは、店舗にいることが減り外での仕事が増えていますね。「山形ビエンナーレ」でのキュレーションや「資生堂ギャラリー」での展覧会企画協力、「日本橋三越」でショーウィンドウを手がけたり、「東急ホテルズ」の書棚をディレクションなど、さまざまな案件に携わらせていただいています。


直近の仕事で言えば、「アクロスザヴィンテージ」と書店員向けのシャツやカーディガンをプロデュースしました。基本的には本にまつわる仕事が多いですが、打ち合わせをして、次第に構想が現実へと変わっていく時の達成感はひとしおです。「森岡書店」での仕事を見てくださったり、執筆した本を読んでいただいた方から、自分が想像もしなかったお仕事をいただけるというのはとても嬉しいことです。


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遊ぶように仕事を楽しむ。

━オフの時には何をされていますか?

オンオフの区別は良い意味でないかもしれません。仕事の延長線上に休みがある感じですね。よく「いつ休んでいるんですか?」と聞かれることがありますが、語弊を恐れずに言えば、休んでいるという感覚はあまりなくて、ずっと遊んでいるような感じに近いです。たとえば、オンラインサロン「森岡総合研究所」を運営しているのですが、メンバーの方と月に1度は会うことにしています。WEB上での会員同士のコミュニケーションが盛んで、カレーのお店を立ち上げようとしている方や、エッセイを書き溜めて本を作ろうとしている方など、面白い方がたくさんいます。そういう方々と企画を考えたり、実現に向けて動くのはとても楽しいですね。


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背景を感じられるプロダクトに惹かれる。

━モノに対するこだわりを教えてください。

ある空間にそれを置いた時に、どんな風な在り方をして、どんな展開になるのかを期待させてくれるモノに惹かれます。堀江敏幸さんの『もののはずみ』という本があるのですが、それを読んだ時にものすごく腑に落ちました。「モノ自体よりも、背後にある物語を大切にする」という内容なのですが、なぜ自分が古本や古道具に惹かれるか教えてもらった気がしたんです。改めて考えると、モノの背景にある物語を大切に考えていたんですよね。モノとの出会いは人との出会いも同じで、場当たり的に出会ったのにも関わらず、そこから物語が派生していくというのはおもしろいですよね。


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高級感とクオリティを兼ね備えたブランド。

━グレンロイヤルとの出会いを教えてください。

まだお店が茅場町にあった時に、当時グレンロイヤル総輸入代理店の直営店「ブリティッシュメイド」で働かれていて、今は写真家の田中崇嗣さんがお客様として来てくださったんです。そして、グレンロイヤルの革製品をプロデュースするという企画をいただきました。それが出会いですね。本当にモノづくりがしっかりしていて、4年ほど愛用していますがまだまだ現役で活躍してくれています。


ブライドルレザーは頑丈なので、ラフにカバンの中に入れておいても大丈夫です。エイジングにより味が出ることで、自分だけのものとしての愛着も湧き、打ち合わせで使う時にも安心感があります。さまざまなモノの起源がある英国で作られるプロダクトという点にも背景の物語を感じられますね。


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長年愛用することに耐えうるコンセプト。

━愛用されているグレンロイヤルの魅力を教えてください。

私の思う“英国”をプロダクトに落とし込んで欲しいとリクエストをいただいた時に、あまりファッション的なデザインにはしたくないと思いました。長く使うことを前提としているので、そこに耐えうる物語とはなんだろうと。バートランド・ラッセルというイギリスの哲学者がいるんですが、彼の著作の序文に「世界は2つのものからなる」と書いてあったんです。たとえば、善と悪とか美と醜とかそういうことを差しているんですが、その世界観がすごく良いなと思いました。ベタかもしれませんが、夜空の月のように光と闇の関係性をイメージして、革の色とステッチの色をアレンジしました。やはり、モノ自体の魅力もそうですが背景にある要素は大切だと思います。そういうわけで、周りの人に話したくなるようなストーリーが込められた財布と手帳カバーをとても気に入っています。


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「森岡書店」代表 森岡 督行さん

photoTRYOUT textK-suke Matsuda

「森岡書店」代表
森岡 督行さん

「森岡書店」代表 森岡 督行さん

1974年生まれ。山形県出身。1998年に神保町の一誠堂書店に入社。
2006年に茅場町にて「森岡書店」として独立。2015年に現在の銀座の地に移転。
著書に、『BOOKS ON JAPAN 1931-1972 日本の対外宣伝グラフ誌』、『東京旧市街地を歩く』、『本と店主: 選書を通してわかる、店主の原点。店づくりの話』など。

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