IN THE CAFE Vol.1
ここは街のメインストリートから、一本入った人通りも少ない英国風のカフェ。
お店の規模は小さいけれど、店内の隅々までオーナーの意識が行き届いたお店です。
この店に集うグレンロイヤルの「マネークリップ」を使用する4人の物語を少し覗いてみましょう。
きりっとした日差しのなか、今日もいつものコーヒースタンドへ。週の半分以上、出社前にこのカフェに立ち寄るのが朝のルーティンとなっている。少し大げさかも知れないけれど、朝起きてどんなコップで水を飲むか、どんなソファに座って1日を過ごすか、お金を入れる財布はどんなものを使うか。些細だけれどそれぞれの選択や行動の一つひとつが、自分の人生を形作っていると思う。豊かな暮らしとは、どれだけ自分の意志を細部にまで宿せるかだと思っている。最近の私はもっぱらミニマリスト思考。できるだけ余計なものは手にせず暮らしたいと考えている。無駄がないこと、機能的であること、そして飽きがこないこと。この3点を念頭に置きながら生活している。最近は現金も必要最低限あれば事足りてしまうけれど、とはいえ、まだまだ財布はライフスタイルになくてはならないもの。この「マネークリップ」は、一見、男性的なデザインにも思われるかも知れないけれど、手に収まるサイズ感やフォルム、使い勝手もばっちりで、今のところベストな選択だった。そう胸を張って言える買い物だ。
午前中にクライアントとの商談を終えて、次のアポイントまでの時間を過ごすのに昼食も兼ねて何気なく入ったカフェ。取り立てて用事がなければ来ることがないこの街だけれど、よく観察してみると旧いものと新しいものがバランスよく混在していることに気がつく。街中にはチェーンのファストフード店が立ち並ぶなか、一本通りを入るとこんな雰囲気のいいカフェがあったり、老舗だと思われる天ぷら屋さんの暖簾がゆらゆらと風に揺らいでいたりと、なんとも言えない心地いい空気が流れている。この店の客層は年齢も職種もまばらで、若い人から年配の人まで、思い思いのそれぞれの時間を過ごしているようだ。その様子を見て、以前、ロンドンに行った時に入ったパブのことをふと思い出した。ここと同じように様々な人たちの社交場になっていて、誰もが好き好きに時間を過ごしていた。その店で印象に残っている一人の男性客がいる。何十年も着続けているであろうツイードジャケット、メンテナンスが行き届いているけれど、履きこまれたデザートブーツ。さりげないけれど、確かなマイルールを感じさせる佇まいが、いかにも英国紳士といった感じだった。その時、男に必要なのは“ファッション”ではなく、“スタイル”なのだと気付かされた。この財布も、気品と清潔さがあり、自分の現在のスタイルには欠かせないものになってきている。きっとこの街と同じようにいつか“温故知新”を感じさせてくれるアイテムになってくれるのだろう。
待ち合わせの時間より15分前に着いたカフェで、ガールフレンドの到着を今かと待っている。このお店は信頼するセンパイに一度連れてきてもらったことがある穴場的なカフェだ。それ以来、自分のとっておきの手札の一つとして、あたかも昔から通っていたかのように利用させてもらっている。もっぱら普段はミルクティを注文するのだけれど、最近はコーヒーの美味しさもだんだんわかってきた気がしていて、一段ずつ大人の階段を上っているような気持ちでいる(砂糖とミルクはたっぷりと入れるけれど)。ワイヤレスイヤホンからは、先週発売されたグラスゴーの活きのいい若手バンドの新譜のアルバムが流れている。サブスクリプションサービスの登場により、国境もタイムラグもなく新しい音楽が聴ける。ちなみにこの財布は、誕生日プレゼントに彼女からもらった〈グレンロイヤル〉のものだけれど、長財布でも普通の二つ折りでもなく、「マネークリップ」というところにグッときている。他の人とかぶらないオリジナリティ。そんな気の利いた商品を選ぶセンスの良さも、彼女をリスペクトしている点だ。クラシックな佇まいで、気兼ねなくガシガシと使える最高の相棒だ。スマホとこの財布さえあれば、世界中どこへでも行けそうな気がする。それにしても、ちょっと遅いなぁ、さては遅刻かな?
仕事終わり、一服にとカフェに立ち寄る。最近は喫茶店でさえタバコが吸えず、いよいよ喫煙者には肩身が狭い社会になってきている。昼間はおしゃれなカフェのようで、お客も学生や女性が多いみたいだけれど、日も暮れると一気にバーのような様相に変わり、俺みたいな中年のオヤジも気兼ねなく入ることができる。カフェなのに、お酒が飲めるのもいい。昔からウイスキーだけは、バーボンよりもスコッチの方が好みだ。今使っているこの「マネークリップ」も、奇遇にも英国製のもの。これを使い続けて約4年、日に日に違う表情を見せてくれている。最初は硬かった革も、使い込むほどに柔らかくなり、エイジングによりツヤ感も増してきている。経年変化が楽しめる【OXFORD TAN】は、ブライドルレザーの魅力をダイレクトに引き出してくれる色だ。「革は味が出てナンボ」だと昔から思っているけれど、残念ながら女房には少し不評。女性には味と汚れの違いがなかなか伝わらないらしい。ただ、そこが男心をくすぐるんだよなぁ。
photo Masahiro Yamamoto text TRYOUT