GLENROYAL × Stylist 四方章敬
スタイリスト四方さんがグレンロイヤルに別注。
「理想のトート」の条件とは?
スタイリストとしても幅広く活躍し、数々のブランドでディレクションやコラボレーションを手がける四方章敬さんが、グレンロイヤルに初めての別注。ブライドルレザーの名門として知られるブランドのDNAを活かしつつ、ゼロからデザインを起こしてトートバッグを製作しました。「スタイリストとしての目線から、“合わせやすさ”“使いやすさ”“買いやすさ”の理想的条件を詰め込みました」と話す四方さん。さて、その条件とは?
四方章敬 / スタイリスト
武内雅英氏に師事後、2010年に独立。ファッション誌『MEN’S EX』『LEON』などのスタイリングや、数々のブランドのディレクションを手掛ける。ドレスとカジュアルを自在に横断する、卓越したセンスとモノ選びの視点にファンが多い。
「トート好きの僕が考える、理想のバッグを形にしました」
——ファッション誌やブランドのディレクションなど多岐にわたり活躍される四方さんですが、バッグの別注企画は今回が初。どんな構想のもとで着手しましたか?
四方 シンプルに「自分が心から欲しいと思うバッグを作ろう」ということですね。僕は普段からクラシックなもの、上質なもの、それでいてモダンさも感じられるものが好きで、僕のスタイリングや提案を面白がってくださる方々とも近い感性だと思っています。なので、自分の理想を追求して形にすることが、結果としてみんなが欲しかったものに繋がるだろうと考えました。
——四方さんにとっての理想的バッグとはどんなものなのでしょう?
四方 まず、僕は大のトートバッグ好き。ポンポンと荷物を放り込める気楽さもいいですし、何より合わせる服を選ばない。スーツ、ジャケット、シャツ、ニット……ビジネススタイルからリラックスカジュアルまで、どんなスタイルにも馴染みますよね。とはいえ、バッグのサイズや形、素材使いなどによって、ドレス寄りのものもあればカジュアルよりのものもある。本当に万能なトートは何か?と考えると、意外に答えが見つからなかったりしますよね。そこで今回の別注では、その答えを導き出してみようと思ったわけです。
——そしてたどり着いたのがこちら、というわけですね。トートバッグとしては、ちょっと変わった雰囲気かなと思いますが……
四方 一番の特徴はフラップのデザインでしょうね。実は2WAYで使える仕掛けがあります。中央に穴を開けていて、そこに片方のハンドルを通すと雰囲気が少し変わるんです。さらに、穴の中に手を入れてバッグ内部にアクセスできるようにも作っています。フラップつきのトートはクラシックな雰囲気が魅力で、中身を隠せるという機能性もありますが、荷物を出し入れするときにいちいち開け閉めするのがちょっと面倒ですよね。そのジレンマを解消するための工夫というわけです。
——これはとても斬新なアイデアだと思います!
四方 いくら見た目がよくても、使い心地にストレスがあると結局手に取らなくなってしまいますよね。僕も過去、そういう体験をたくさんしてきたので……デザイン性と実用性のバランスにはとても気を遣いました。
——見た目について、ほかにこだわったポイントはどこですか?
四方 ひとつは素材使いですね。グレンロイヤルといえばブライドルレザー。独特の重厚感は唯一無二ですし、使うほど美しく育つのも魅力です。今回の別注作でもぜひ使いたかったのですが、いっぽうで“軽やかさ”も追求したかった。見た目に軽快で、実際の重量も軽いバッグにしたかったんです。なので、あえてブライドルレザーは部分使いに留めました。ボディに採用したのは“塩縮ナイロン”という素材。バッグに使われる一般的なナイロンよりもマットな質感で、パリッとした独特の手触りです。かなり肉厚で、ブライドルレザーとの相性もいいですね。コンビ素材のバッグというとキャンバス×レザーが定番ですが、それよりもモダンな印象に仕上がっていると思います。
——クラシックなブライドル×テクニカルなナイロンというコントラストが魅力ですね。
四方 ありそうでない組み合わせですよね。ちなみに、実はサイドにもブライドルレザーをライン状に配しています。ちょっとしたアレンジですが、これが入るだけで表情がグッと引き締まるんですよね。軽やかではありつつ、上質感を損なわないように気をつけていて、こういった細部の作り込みを大切にしています。
——クラシックに精通する四方さんらしいこだわりですね。機能面についても解説いただけますか?
四方 サイズとしては、A4の書類や13インチのノートパソコンが入る容量を確保しつつ、大きすぎないバランスに設定しています。マチもしっかり取っていますが、開口部の両サイドをボタンで留められるので、見た目はスマートですね。内装はあえてシンプルに、内ポケットひとつだけ。これはグレンロイヤルらしさを尊重した結果です。いくつもポケットをつけて“気が利きすぎる”内装にしてしまうと、イギリスのバッグっぽくなくなってしまいますからね。ちなみにフラップの穴に手を入れたとき、ちょうど内ポケットの底まで手が届くように計算しています。なので、スマホや財布などはサッとスマートに取り出せますよ。
——シンプルだけれど、さりげない配慮を効かせた機能性というわけですね。
四方 そうですね。それからもうひとつ、小さいジップポーチが付属するのもポイントです。イヤフォンやハンドクリーム、名刺入れなど、バッグの中で散らばりがちな小物をまとめて収納しておくと便利ですよ。ポーチをストラップから取り外して使うこともできるので、たとえば筆記具などを入れておいて社内移動時のミニバッグ的な感覚で活用することもできると思います。
「スタイリスト目線で、合わせやすさにもこだわりました」
——バッグは装いのアクセントとしても重要なアイテムですが、デザインを考案するうえでそのあたりも重要なポイントでしたか?
四方 もちろんです。スタイリストとしては、“バッグ単体では格好いいけれど、服装に合わせにくい”というのが一番もどかしいですからね。まずご注目いただきたいのは、ナイロン×ブライドルレザーのコンビ素材による“抜け感”と“ドレス感”のバランス。たとえばこんな感じで、ブレザーにコットンパンツ、ノータイにローファーというビジネスカジュアルスタイルに合わせると、レザーのドレス感が仕事にふさわしい格調を演出しつつ、ナイロンの軽快感によって洒脱な印象も加わります。よくあるキャンバス×レザーよりヒネリの効いた印象にも見えますね。それから、トートとしてはハンドルが短めなので、ブリーフケースに近い見え方になるところも仕事に使いやすいポイントだと思います。
——そしてもちろん、カジュアルスタイルにも合いますよね。
四方 そうですね。たとえばこんな感じのスタイリングはいかがでしょうか。オープンカラーシャツを主役にした軽快なムードを損なわず、ブライドルレザーの部分使いが効いてコーディネートの上質感がアップしています。ちなみにこのトートは、ブラウンのナイロンにあえてブラックのレザーを合わせているところもポイント。これによって、黒靴でも茶靴でもマッチするというわけです。
——細かいところまでスタイリストらしい作り込みが光っていますね。さて終わりに、今回の別注グレンロイヤルについて最も強くアピールしたいことはなんですか?
四方 製作を進めるうえで常に頭を悩ませていたのが、価格とクオリティのバランスでした。物価高が叫ばれる昨今、できるだけ手に取りやすいバッグを作りたいという思いは当然あって、実際安く作ろうと思えばいろいろ手の打ちようはありました。ただ、コストダウンを図ろうとするとどうしても妥協が多くなる。それでは結果、お客様をがっかりさせてしまうのではと……。なので、逆に既存のグレンロイヤルからアップグレードする方向で考えようと肚を決めてかかりました。たとえば大きく贅沢にブライドルレザーの一枚革を使ったフラップ、サイドに配したブライドルレザーのライン、付属ポーチに使ったジップやレザーパッチ……目立つ部分はもちろん、細かいところまで上質感にこだわって作り込んだので、“これが理想のトートだ!”と胸を張れるものができたと思っています。
——定番展開しているグレンロイヤルのナイロンバッグと比べると、確かにちょっとだけ価格は張ります。ただ、それ以上にプレミアムなクオリティになっていることは間違いありません。
四方 僕のディレクション料を不当に乗せてるわけじゃありませんから、そこだけは誤解なく!(笑) でも冗談抜きにいいものができましたので、きっとご満足いただけるはず。ぜひ、店頭でお手に取ってみてください。
