No.39
手仕事を愛する編集ライターの、
便利な財布兼ショルダーバッグ
編集ライター仁田 ときこさん
身軽でいたいけど、ラフ過ぎるのは恥ずかしい。
そういうシーンで何度もこのバッグに助けられました。
モノよりコト、衣食住で構成される「暮らし」を重視する現代で、多くのファンから支持を集めているのが編集ライターの仁田ときこさん。ファッション誌やライフスタイル誌など、さまざまな媒体の制作と執筆を手がける多忙な生活の傍ら、2019年の11月に都心を離れ、自然豊かな葉山での暮らしを手に入れました。都会と自然を往来する令和らしい生活スタイルに、憧れる方も多いのではないでしょうか。そんな仁田さんにとって、日々に欠かせないアイテムのひとつが、グレンロイヤルの「ミディアムパースショルダーストラップ」。職業柄、世界の銘品に触れる機会も多い彼女ですが、いったいどのような部分に魅力を感じているのでしょうか。お仕事やライフスタイルのお話と合わせて伺いました。
モノに付加価値をつける「コト」の役割。
━お仕事について教えてください。
雑誌を中心に、モノの背景について取材をしたり、暮らしや愛用品を紹介する仕事が多いです。たとえば、JALの機内誌『SKYWARD』で世界の銘品を取り上げたり、マガジンハウスの『&Premium』という雑誌で、暮らし方を紹介したり、地方へ行って暮らしの愛用品のモノづくりを取材したり……。もともとはファッション色の強い仕事も多かったのですが、30歳の時に出産を経験してからは、次第に自分自身の関心が心地いい暮らしの方へシフトしていきました。今では、暮らしまわりのモノやコトの方が、自分のライフスタイルともリンクしていることもあって愛着を感じるようになりました。こういう感覚はとても大切で、オンラインで何でも購入できる時代だからこそ、付加価値が大切だと思っています。たとえば、2年ほど前に飛騨の山奥にある「やわい屋」というお店を取材したのですが、そこまで行くには駅から何時間も車に乗らなければいけないほど、道のりが大変でした。しかも、私が行った時はあいにくの猛吹雪で(笑)。ですが、お店の雰囲気や取り扱われている全国の民芸品はとても素敵で、今でもそこで購入したモノを使う度にその時の感動を思い出します。この仕事の醍醐味は、そういった世界中にある素敵なモノや、その背景にあるモノづくりをクローズアップして、付加価値をつけるきっかけをつくることだと思っています。
モノづくりの背景には、大きな発見がある。
━手仕事やモノづくりに惹かれるようになったきっかけはありますか?
じつはもともと男性誌の出身ということもあり、モノづくりの取材ばかりしていた時期があります。今でこそモノの背景にフォーカスする女性誌も増えてきましたが、一昔前はデザインや表面上のかわいさを重視する媒体の方が多かったんです。そういう理由もあり、モノの背景が好きだった20代の頃の私は、スーツや革靴、メガネなどを中心にトラディショナルなモノをたくさん取材していました。だからこそ、どんどん手仕事やモノづくりにのめり込み、ファクトリーや職人さんを取材することに興味を持つようになりました。たとえば、日本を代表するメガネ産地である福井県鯖江市へ行くと、それを作っているのは地元のお母さんだったりします。またジーンズなどもそうですが、世界に輸出される逸品を田舎のお爺さんやお婆さんが当たり前のように作っているという発見があります。そこで作られたモノがパリコレなどに出展されていると思うと、面白いですよね。そういった部分に光を当てることができるというのは、仕事のやりがいのひとつです。今年の5月頃から、阪神百貨店さんと地方の職人さんを訪問して紹介するという企画が始まるので、とても楽しみにしています。
自然と都心を往来で、生活にメリハリがつく。
━仁田さんのライフスタイルに憧れる方も多いと思いますが、葉山へ移住されてから心境やライフスタイルに変化はありましたか?
都内に住んでいた時も、それなりに毎日刺激的で楽しかったです。ですが、土日になる度に子どもたちと「どこへ行こう」という話になってしまうんですよね。それは逆に言えば、どこかへ行かないと楽しみが見出せないということじゃないですか。とくにうちは、男の子2人なので、特別な場所へ行かなくても自由に自然の多いところで遊べるようにしてあげたいという思いがあり、葉山への移住を決めました。今の家は、自宅からすぐに海も山もあります。子どもたちだけでなく、夫や私も登山やSAPを楽しんだり、夕日が沈むのを見ながらお酒を飲んだり、生活が豊かになりました。あと、自然が身近になったことで環境への考え方も変わりましたし、一度コロナ禍で物資がストップしたことを機に、畑を借りて農業をはじめました。今ではじゃがいも、キャベツ、人参、ブロッコリーなど、自分たちで作れるものは作るようにしています。これには思わぬ効果もありまして、原稿を書いて頭が疲れたり、色々なタスクが山積みになっていても、土いじりをすると頭の中をクリアにすることができます。そういう意味では、自分の仕事にとって良いメディテーションになっています。仕事で東京へ出る際には、1時間くらい電車に乗るのですが、グリーン席を取って仕事をすると原稿が捗るということもわかりました(笑)。仕事と暮らしをバランス良く、メリハリをつけてできるようになったことは大きな変化ですね。
モノづくりや背景を応援したくなるかどうか。
━葉山へ引っ越されてから、モノ選びの基準に変化はありましたか?
最近はとくに、「モノづくりを応援できるか」という視点でモノを選ぶようになったと感じています。前々から、丁寧なモノづくりに惚れ込むということはありましたが、それよりもさらにメーカーやブランドがどういう思いで、どんな背景でプロダクトを作っているのかということを重視するようになった気がします。たとえば、最近愛用しているこのエコバッグは「RAIRBAG PROJECT」というプロジェクトのモノなのですが、廃車のエアバッグをリサイクルした素材で作られています。近年では、電気自動車へ買い換える方も増えていますが、その弊害として乗り古したガソリン自動車の廃車数が増えているそうです。そこで何か使える部分を再利用しようということで、このプロジェクトを立ち上げたと取材をした時におっしゃっていました。私は職業柄もあり、取材先でこういった背景を知って、ファンになって購入するというケースは多いかもしれません。このエコバッグには紐が付いていて、コンパクトに丸めることができるので機能性もばっちりです。色々な場所へ行く仕事なので、荷物に限度がある分持ち運ぶアイテムは常に厳選しています。だからこそ、気に入ればかなり長く愛用することが多いです。
時代の空気を取り入れ、進化を続けるブランド。
━グレンロイヤルとの出会いを教えてください。
10年以上前に世界文化社の『Begin』という男性誌の仕事で、はじめてグレンロイヤルのプロダクトに出会いました。当時はどちらかと言えば無骨なブランドイメージで、男性のアイテムという印象を感じたのを覚えています。だから、伝統的なブライドルレザーという素材は大好きでしたが、なかなかアイテムを持つまでには至りませんでした。それから時を経て、2年ほど前にグレンロイヤルの輸入総代理店である渡辺産業さんとお仕事をする機会があり、その際に「スタイルのある自立した大人の女性」をテーマにしたグレイスコレクションがあるということを知り、「ミディアムパースショルダーストラップ」を購入しました。数ある英国の老舗ブランドの中には廃れてしまうものもありますが、今でもちゃんと残っているブランドには時代に合わせて進化をし続けているものが多いです。グレンロイヤルはまさにそんなブランドのひとつで、昔ながらの手仕事やきちんとしたモノづくりの姿勢、品格を大切にしながら、色使いやデザインなど現代の感覚を融合させているのが魅力だと感じました。
暮らしになじむ、使い心地のいいデザイン。
━「ミディアムパースショルダーストラップ」の魅力を教えてください。
使い勝手が良いところです。中を開けるとコインを入れられるジップポケットが付いていて、お財布として使えるのはとても便利です。しかも、スマートフォンや通帳を入れることもできますし、バッグの背面には交通系ICカード用のポケットがあります。これからの時代、さらに持ち物が少なくなってくると思うので、本当にちょうどいいサイズ感だと思います。個人的に買って良かったと一番感じるのは取材時。荷物が多いので、どうしてもリュックやエコバッグのようなラフなバッグになってしまうことが多いのですが、先方にご挨拶をする時に少し恥ずかしい時があります。このバッグはブライドルレザーがコーディネートを上品にまとめてくれるので、そういったシーンで何度も助けられました。とくに私はブラックを選んだので、冠婚葬祭でも持つことができるのは魅力です。じつは本日も息子の入学式で使ってきました(笑)。ブランドロゴが主張するようなバッグだとスタイルを選びますし、これだけ控えめで品があるものはなかなかないですよね。トラッドなスタイルにはもちろん合いますし、リネンやコットンなどのナチュラルな素材や、ふんわりとしたフレアラインのワンピースなど、女性らしいコーディネートとも相性が良いです。都内に住んでいた時は手入れをしていましたが、海の近くへ越してからはあまり手入れをしていません。潮風でだんだんと経年変化してきましたが、これも自然なエイジングということで愛おしくなってきました。2年ほど愛用していますが、タフなレザーなので形崩れもなく、とても頼りになるバッグです。
photoKenichiro Higa textK-suke Matsuda(RECKLESS)
編集ライター
仁田 ときこさん
兵庫県出身。ファッションとライフスタイル領域をメインに、さまざまな雑誌やウェブ、書籍、企業広告などで編集と執筆を手がける。主な媒体に雑誌『&Premium』『リンネル』『LaLa Begin』『FRau』『kodomoe』、ウェブマガジン 『SPUR.JP』『FUDGE.jp』など。JALの機内誌『SKYWARD』にも寄稿。ファッションブランドのブックや企業広告の制作にも携わる。2019年11月より葉山へ移住。自然に囲まれたライフスタイルを、YouTube『リンネルチャンネル』で紹介。共著に『食事で願いを叶える湯島食堂のご飯とおかず 心と体と魂を癒すレシピ』(ブルーロータスパブリッシング)、『冷え冷えさんのためのぽかぽかお洒落スタイル』(宝島社)。
https://www.youtube.com/watch?v=GZW2s1NdLCw
photoKenichiro Higa textK-suke Matsuda(RECKLESS)